史上初のスーパーボウル3連覇を目指す中、6つの曜日で試合に臨むチーフス

カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/John Locher】

カンザスシティ・チーフスは現代のNFLにおいて、トロフィーの獲得者であり、歴史を築く者でもある。

王朝と呼ばれるようになったチーフスは、どのような日程であろうとそれを実現させてきた。2024年シーズン、チーフスはNFLの歴史に新たな1ページを刻むべく、スーパーボウル3連覇を成し遂げる最初のチームになることを目指している。

スケジュール上の注意点によって、その実現はさらに厳しくなるだろう。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、チーフスはレギュラーシーズン中に6つの曜日で試合に臨むことになっており、それはニューヨーク・ヤンキースが1927年シーズンに経験して以来、NFLのチームとしては初めてのことだという。

チーフスは日曜日、月曜日、水曜日、木曜日、金曜日、そして土曜日に試合に出場するが、スーパーボウル時代においてこうした状況は前例がなく、最後にそれを経験したのは前述のヤンキースだ。それは1927年のワールドシリーズを制し、“マーダラーズ・ロウ(殺人打線)”の愛称で親しまれた野球チームのヤンキースではなく、月曜日以外のすべての曜日で試合に出場して7勝8敗1分の成績を残した当時のフットボールチームだ。マンデーナイトフットボール(MNF)がデビューしたのはそれから40年以上も後の話であり、当時は存在していなかった。

元クオーターバック(QB)トム・ブレイディ率いるニューイングランド・ペイトリオッツが目指して以来、前人未到のスーパーボウル3連覇を狙う初のチームとなるチーフスにとって、そうしたスケジュールは思いがけない展開だと言えよう。

NFLではペイトリオッツが2003年シーズンと2004年シーズンに成し遂げて以来、スーパーボウル連覇を達成したチームがなかったが、昨季のスーパーボウルでサンフランシスコ・49ersに勝利したチーフスが、その期間に終止符を打った。

NFLでスーパーボウル3連覇を達成したチームがないだけではなく、2年連続でロンバルディトロフィーを獲得した8チームのうち、その次のスーパーボウルに出場したチームも存在しない。8チームのうち3チームはカンファレンスタイトル戦、2チームはディビジョナルラウンドで敗れ、3チームはポストシーズン進出を逃した。

当然、NFLはスーパーボウル時代に始まったわけではないため、チーフスはスーパーボウルの歴史を塗り替えようとしているかもしれないが、それと同様にスーパーボウルのトロフィーに名前が刻まれている人物のことも追いかけている。

NFLで最後に3年連続となるタイトル獲得を成し遂げたのは、ビンス・ロンバルディが率いた1965年シーズンから1967年シーズンにかけてのグリーンベイ・パッカーズだ。パッカーズは1965年シーズンにNFLチャンピオンに輝いた後、チーフスと対戦した第1回スーパーボウルを含む、最初の2回のスーパーボウルで勝利した。

チーフスが歴史に挑戦する姿はもちろん、テレビやインターネットで放送・配信され、毎週のように注目を浴びることになるだろう。チーフスは3連覇を目指す中で、8つの限定的な試合――NFLキックオフゲーム、2回のサンデーナイトフットボール、2回のマンデーナイトフットボール、ブラックフライデーゲーム、シーズン第16週の土曜日に行われる試合、その次の水曜日に行われるクリスマス当日の試合――に出場する。NFLリサーチによると、こうしたジェットコースターのような展開の中で、チーフスはリーグ史上初めて、1シーズンに5つの異なる曜日で試合に勝つチームになりうるとのこと。

チーフスがやらないことの1つに、インターナショナルゲームへの参加がある。しかし、過去の海外遠征を見れば、チーフスが努力を重ねてきたことがよく分かる。

NFLのインターナショナルゲームに出場したシーズンにスーパーボウルの栄光を手にしたフランチャイズは過去に2つしかなく、それは2007年シーズンのニューヨーク・ジャイアンツと2019年シーズンおよび2023年シーズンのチーフスだ。

メキシコでの試合に臨んだシーズンにロンバルディトロフィーを掲げたチームは1つしかない。それは2019年シーズンのチーフスだ。

ドイツでの試合に臨んだシーズンにスーパーボウルで勝利を収めたチームは1つしかない。それは昨シーズンのチーフスだ。

どのようなスケジュールであろうと、チーフスは王朝を築き上げるために忍耐強く前進してきた。今シーズン、チーフスはスーパーボウルの歴史をさらに塗り替えるべく、歴史的なスケジュールでプレーすることになる。

【RA】

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