権藤可恋が地元大会前に“悲願成就” 「佐賀の試合までに勝ちたかった」 次戦は凱旋大会

10年目でのプロ初優勝(撮影:GettyImages)

<ツインフィールズレディース 最終日◇18日◇ゴルフクラブ ツインフィールズ ゴールドコース(石川県)◇6484ヤード・パー72>

“単年登録”として2015年にプロ活動を開始。18年にはシード件を獲得し、日本女子プロゴルフ協会の正会員入り。今年で10年目の権藤可恋が28歳ではじめて勝利の美酒を味わった。

はじめて獲得したシード権は1年で手放し、その後は苦しい時期が続いていた。今年のQTランキングも110位。ステップ・アップ・ツアーが主戦場だが、前戦の台湾大会で今季初トップテンの9位。好調をキープし、ついに頂点をつかんだ。

「ホッとしているのが一番です。優勝が決まって、おめでとうと声をかけてもらったときは少しウルっときたけど、絶対今年は1勝すると決めていたので、うれしさと、達成できてホッとしたのと半々ですね」

最終ホールでダブルボギーを叩いたが、リードを守り切って歓喜の瞬間を迎えた。「ボギーパットを打つ前にボードを見て、はじめて状況が分かった。そこまでもボードがあるところは見ていたけど、電光掲示板なので自分の順位のところがちょうど映らないときだった」と状況をつかめないまま進んだ。「私もスコアを伸ばしているからいいところにはいるだろうなと思って回っていました」と、ひたすら勝利をめざした。

「さすがに18番のボギーパットを打つ前には確認しておこうと思って見たら、2パットでも優勝できると分かった」。そんな中、ついダボを嫌がって強めにヒット。「最後のダブルボギーのパットは50センチの下りフック。これは簡単に打ってはイカンと思って、ちゃんとマークして打ちました。ちょっと手が震えていたし、私も人間だなと思いました(笑)」。カップに沈み、喜びと安心感が湧き上がった。

ここまでのプロ生活を「本当に目まぐるしかった」と振り返る。「2018年に初めてシードをとったときにライセンスももらって、皆さんにも期待をしてもらって、私自身も自分に期待しました」。順風満帆に進むつもりでいたが、長いトンネルに迷い込む。「ライセンスをとって、ちゃんとプロとして認めてもらえた途端に、いいショットを打たないといけないとか、ミスショットをしてはいけないとか…」。自分を「プロゴルファーという型にはめ込もうとした」と、スコアにつながらない日が続く。

どん底を味わう中で、新コーチと出会う。「少しずつ打ちたい球が打てるようになり、ゴルフが少しずつ楽しくなり、今年は自分がやりたいゴルフに近づいてきた」。前進を実感しながら、ようやく栄光をつかんだ。

「10年目の節目の年に優勝できて、ずっとお世話になっているスポンサーさんに恩返しできたことが一番うれしいです。支えてくれた人たちには感謝しかないですね」と感謝の言葉を続ける。「そういうみんなが喜んでくれる姿を想像しながらプレーできた。自分のためだけにやっているわけではないという思いが後半は強かったと思います」。

次戦は地元の佐賀県開催で、凱旋の里帰りとなる。「佐賀の試合までに勝ちたいのがあったので、それを達成できたのはよかったです。今は調子もいいので、地元で勝ちたい思いも強いですし、大会を盛り上げられる位置で最終日を迎えて優勝争いに絡んでいきたいです」と言葉にも力がこもる。「早めに2勝目を」。自宅通勤で、家族にも優勝の瞬間を届けたい。

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