「距離感が遠くなってしまうのは望ましくないし、エスパルスらしくない」。元日本代表FW北川航也は横浜FC戦の反省をどう生かす?【連勝ストップの清水。攻撃のキーマン2人は何を思う(2)】

横浜FC戦でプレーする清水エスパルスの北川航也 撮影:中地拓也

5月18日の横浜FC戦を0-2で落とし、9試合ぶりの黒星を喫した清水エスパルス。最大の敗因はやはりゴールを奪えなかったことではないか。

今季の清水は複数得点勝利が多く、ノーゴールに終わったのは3月30日のモンテディオ山形戦と今回だけ。J1得点ランキングトップの8ゴールを挙げている北川航也が横浜FCの3バックにガッチリと封じられたことはやはり大きかった。

「今日はあまり仕事をさせてもらえなかったというのが終わってからの感想です。クサビのボールが入った時は相手DFが強く来るし、挟みにも来る。自分の周りにはつねに2人3人がいる中で、どうすべきかを考えながらプレーしましたけど、うまくいかなかった。逆に相手に奪われて前に持っていかれる場面が多かったですね」と本人も反省しきりだった。

横浜FCにしてみれば、「清水最大の得点源をつぶせば勝利の確率が高まる」と考えるのは当然のこと。最終ラインのガブリエウ、ンドカ・ポニフェイス、福森晃斗の3枚が凄まじい徹底マークを見せてきた。

■「距離感が遠くなってしまうのは望ましくない」

北川としてはそれをしっかりと頭に入れて、カルリーニョス・ジュニオやルーカス・ブラガら攻撃陣といい距離感を取りながら、空いているスペースを効果的に使うといった解決策を見出せたら理想的だったが、今回はゴールという形に結びつかなかった。それを彼自身も素直に反省し、課題と向き合っていく構えだ。

「後半になって4枚から3枚、そして再び4枚とシステムが変わりましたし、選手も入れ替わった。そういう中で距離感が遠くなってしまうのは望ましくないし、エスパルスらしくない。距離感をよくすることに関しては、後から入ってきた(ドウグラス・)タンキたちとも話さないといけない。改善点があるというのはよくなる一方だと思うので、次に向けていい準備をするだけです」

どこまでも前向きな北川。そういったポジティブなマインドは、森保ジャパンの一員として2019年アジアカップ(UAE)に参戦しながら重圧に苦しんだ頃とは全く違う。その後、彼もラピッド・ウイーン移籍と清水復帰を経験。古巣に戻ってきた後も思うように試合に出られなかったり、得点を重ねられない苦しみを味わった。そういった全ての紆余曲折が今季の好パフォーマンスにつながっているのは間違いない。

「代表でアジアカップに行った頃よりはいろいろできることが増えてると思う。自分のストロングはもちろんありますけど、苦手な部分も試合の中でできてきたという実感があるし、総合的にプレーの幅が広がっているのかなと感じます。

(チアゴ・サンタナが浦和へ移籍して)、自分がやらなければいけない、チームを勝たせなければいけないという気持ちも強い。それを90分の中でもっと出していければなとも思います」と北川は今季3敗目という苦い一戦の後に、改めて目の色を変えていた。

■「ホームで負けるなんて許されない」

まず大事になるのは、5月26日の次戦・水戸ホーリーホック戦。水戸は今季予期せぬ低迷を強いられ、今月に入って濱崎芳己監督から森直樹監督に指揮官が交代したばかり。それでも、清水にとっては昨季最終節でまさかの引き分けに終わり、自動昇格を逃すことになった因縁の相手に他ならない。

「ここはもうパワー使わなければいけないところ。相手が100%来るのであれば、エスパスルは120%で戦わなければいけないですし、ホームで負けるなんて許されない。連敗も昇格や優勝を考えればありえない。間違いなく難しい試合になるし、去年のことがあって、ネガティブに捉える人もいるかもしれないですけど、今年と去年ではチーム違うし、自信を持って戦えるので、勝つだけだと思います」

ギラギラ感を強く押し出す北川が再びゴールを量産してくれれば、清水は再び首位街道を驀進できるはず。27歳のエースFWのさらなるブレイクが待たれるところだ。

(取材・文/元川悦子)

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