「Q3の主役になりたかったけど」角田裕毅、今季最高の予選7番手に悔いは残るもチームに感謝…元F1ドライバーは「イモラの週末のスターだ」と賛辞

F1第7戦のエミリア・ロマーニャ・グランプリは5月18日に予選が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は今季最高となる7番グリッドを手にしている。

初日のフリー走行(FP)2回目で3番手という好調ぶりを窺わせていた角田は、FP3で14周回を重ねて全体13番手となる1分16秒668のベストタイムを計測した後、迎えた予選のQ1は4番手となる1分15秒894で余裕をもってクリアすると、Q2も1回のアタックで1分15秒358と3番手通過。昨季の最終戦(アブダビGP)で記録した自己最高記録(6番手)を更新することが期待されたが、Q3では1分15秒465で7番手に止まった。

予選を終えて、彼はチームの公式サイト等を通し、「正直なところ、自分自身に対しては完全に満足していません。今日のQ3で最大限のパフォーマンスを発揮できなかったからです」と、やや悔いを残したことを明らかにしながらも、予選全体を通じてポジティブにも捉えるとともに決勝に向けての意気込みを語っている。

「(Q3までは)かなり良かったと思います。Q2を1回の走行で突破できたのは初めてで、それは確実にポジティブなことです。Q3でのラップはあまり素晴らしいものではなく、もっと良い結果を期待していたし、もっと良いパフォーマンスができたはずです。ドライバーとしては、全てを上手くまとめられなかった時や、まだ余力が残っていると感じた時はいつもフラストレーションが溜まります」

「それでも、今週はこれまでのところかなり堅実にきているので、最大のパフォーマンスを引き出し、明日はダニエル(・リカルド)とともに力強くフィニッシュすることに集中します!」

また、メディアに対しては「Q3の主役になれれば良かったですが、この結果とQ3に進出させてくれたチームの仕事に満足しています。決勝は、ホームのファンの前でより多くポイントを獲得できれば素晴らしいと思いますが、それにはメルセデス(ジョージ・ラッセルが6番手、ルイス・ハミルトンが8番手)を抜く必要があります」と応えた(ブラジルのF1専門サイト『GRANDE PREMIO』より)。
また角田は、今季初めてQ3進出を果たしたチームメイトのリカルド(9番手)への祝福や、チームスタッフへの感謝も忘れず、「チーム、そしてダニエルにもおめでとうと言いたいです。我々は速さを示せており、ファクトリーの人々の努力は、想像以上のものです。彼らは、称賛に値します。これほどのパフォーマンスは予想していませんでした」と語り、さらに以下のように続けた。
「チームは車を開発するために本当に一生懸命取り組んでいて、その努力は計り知れないものであり、それが成果を上げているので、車は一貫して非常に良いパフォーマンスを発揮しています。新しいチームとして、多くの新しいメンバーがいる中で、我々には一緒に溶け込むための時間が必要でしたが、今では皆が上手く機能していて、ミスもほとんどありません。彼らは間違いなく、この結果に相応しいし、こんなに素晴らしい車を提供してくれたことに非常に感謝しています」

一方、リカルドも角田に言及しており、「ユウキの仕事は非常に素晴らしく、週末を通して良いドライビングを見せている」とプレスリリースで語った他、メディアに対して「ユウキにはホームサーキットの利点がある。彼はいつもここでテストをしていると言っていたが、さては何か違法なことをしているな!(笑)。とにかく、彼は良い仕事をしている」(フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』より)と彼らしいジョークも披露している。このあたりには、リカルド自身の調子も上がってきているのが窺えるだろう。

RBも、トップ5(レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、メルセデス、アストンマーティン)に割って入っての両ドライバーのQ3進出を喜んでいるが、レーシングディレクターのアラン・パーメインは「今日は非常に良い1日だった。ユウキはQ2でQ3よりも速いタイムを出していたので、少しフラストレーションを感じてセッションを終えたと思うが……」とのコメントを残している。
角田のパフォーマンスや結果には、チーム外からも賛辞が寄せられている。元F1ドライバーのカルン・チャンドックは、コメンテーターを務めるスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』で、「今のところ、彼はイモラの週末のスターだ。(予選Q2終了時点で)彼は昨日のプラクティスで3番目に速く、今も同様だ。(Q2では)1回だけのアタックでチームメイトのリカルドに0.35秒の差をつけた。素晴らしい仕事だ」と感嘆した(英国のF1専門サイト『F1 OVERSTEER』より)。
専門メディアでは、英国のF1専門サイト『PLANETF1』が、「エミリア・ロマーニャGP予選の勝者と敗者」という記事の中で、角田を「勝者」に選定し、「引き続き素晴らしいシーズンを過ごしており、今週末は最高の状態を見せている。RBは両ドライバーによってペースがあることが証明されたが、結局のところ、それを最大限に活用できたのは日本人ドライバーの方だった。サーキットのすぐ近くに住んでいる24歳は、ラストアタックを決めていればラッセルをも上回っていたかもしれない」と綴っている。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社