バチカン・ローマ教皇庁が会見し超常現象に対する規則を発表

ローマ教皇フランシスコ(ロイター)

涙を流す聖母マリア像、病を治癒する聖母マリア像、壁に現れるキリストの顔のシミ、宇宙人などの超常現象は、何世紀にもわたってカトリック信者たちの信仰心をかき立て、論争を巻き起こしてきた。SNS時代には、デマが急速に広まる可能性があるため、バチカン・ローマ教皇庁が超常現象に対する新しい規則を発表し、19日に発効した。1978年以来の規則の変更となった。英BBC、バチカン・ニュースなどが報じた。

新規則では、超常現象が詐欺やカネもうけのためではないことを確認するために、事象を慎重に評価する必要があると推奨している。近年、SNS時代にそのような現象の報告が急増しており、時にはニセ情報やウワサを通じて広まることもあるからだ。

これまで聖母マリアが人前に現れた事象を教皇庁が公認した事例はある。1858年、フランスのルルドにおいて、少女ベルナデッタ・スビルーの目の前に聖母マリアが現れた「ルルドの聖母」。1917年、ポルトガルのファティマにおいて、3人の少女の前に聖母マリアが出現した「ファティマの聖母」。これらは重要な巡礼地となっている。

一方、教皇庁が公認していないが、各地の教会で独自に超常現象と信じたいくつかの事例では、信者に害をもたらす危険性が生じたり、カネもうけに利用されたり、信者の支配や虐待に至ったりするなど、デマや詐欺であったことが明らかになっている。

そのため、バチカン・ニュースによると「教区の司教も、司教協議会も、教理省も、ある現象が超自然的な起源を持つと宣言することはない。唯一教皇だけが、この意味における手続きを認可することができる」という。

規則では、超常現象について六つの判定が行われる。最上位の判定は「超自然的な信ぴょう性の確実さは表明されないが、聖霊の働きのしるしを認める」、最下位は「司教は、具体的な証拠に基づき、その現象は超自然的ではないと宣言することを認められる」となっている。

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