【平野レミインタビュー】深い料理愛と名前負けしない!絶品「簡単レシピ」<br />

平野レミさん 撮影:邑口京一郎

料理愛好家として知られる平野レミさんの新しい料理本『平野レミの自炊ごはん せっかちなわたしが毎日作っている72品』(ダイヤモンド社)が、発売早々に4刷重版され、絶賛好評発売中。

本の中身は「切って混ぜるだけ」「フライパンで焼くだけ」など、時間をかけずにパパッと作れる料理ばかり。

料理に自信がない人や、時間をかけられない人にとって非常にありがたいレシピ本になっています。

今回は、平野レミさん(以下、レミさん)がどんな想いでこの本を送り出したのか、また中でも彼女が特におすすめしたいレシピについて、話を伺いました。

(全画像)平野レミに訊いた!簡単ウマい「イチ推しレシピ」

料理はパパっとできて食べられるのが最高!

「私はこれまでたくさん本を出してきたけれど、今回の本は、すごく私の気性にぴったりなの! パパッとできる料理が大好きだし、そんなレシピばかり集めちゃったから、私自身にとってもすごく重宝してます」と語るレミさん。

そんな中でも簡単に作れて、リピしてしまいそうなのが「手間が半バーグ」のレシピです。

【手間が半バーグ】

ひき肉も「ボウルを使わず、トレイの上でこねちゃってOK」みたいな手軽さが嬉しい。

「ハンバーグにはマヨネーズを入れるのがポイントね。マヨネーズを使うと、コクが出てすごく美味しくなるの」とレミさん。

まずはレシピを紹介しましょう。

手間が半バーグ

材料(1人分)

合いびき肉…150g
マヨネーズ…大さじ1 片栗粉…小さじ1/2 塩…ひとつまみ
サラダ油…少々

付け合わせ

レモン、クレソン…各適量

レミグラスソース

プレーンヨーグルト…大さじ1
とんかつソース…大さじ1/2強
ケチャップ…小さじ1
クミンパウダー…小さじ1
塩…少々
黒こしょう…少々

作り方

【手間が半バーグ】

1.パックに入ったままの合いびき肉にAを加えて混ぜ、パックの中で軽く押すようにして成形する。

2.フライパンに油をひき、1をひっくり返して肉だねを入れ、ふたをして火をつける。3分半~焼き色がついたら返し、ふたをしてさらに3分焼く。火を止め、5分ほど余熱で火を通す

3.器に2と付け合わせを盛り、混ぜ合わせたレミグラスソースをかけて食べる。

この「手間が半バーグ」はエスニックでスパイシーな“レミグラスソース”が味の要だとか。

今回のレシピ本では、この“レミグラスソース”の材料にもある「クミンパウダー」や「柚子胡椒」「ナンプラー」などの普段はあまり使わない調味料がよく登場する。

最近よく使う調味料は?

そこで気になって、「レミさんのキッチンに必ずある、最近よく使う調味料」について聞いてみた。

レミさん「クミンとか、ナンプラーとか、柚子胡椒…そうね、あと牡蠣油(オイスターソース)かな。

ウスターソースとか豚カツ用のソースなどの基本調味料は一応全部冷蔵庫に入ってるわね。あと、タバスコね。

特定のショップに行かないと手に入らないようなものはなるべく使いたくないわね。使い慣れていない調味料を持っているとエスニックになったり、本格中華の味になったり、いつもの味がグレートアップするので楽しいですよね。

『クミンなんて聞いたこともない』なんていう人もいるけど、冷蔵庫に入れてれおけば、100年持っちゃうから。冷蔵庫が先に壊れちゃうかも(笑)」

レミさんこだわりのイチ推しレシピ

続いて72品ものレシピが紹介されているこの本の中で、レミさんこだわりのお気に入りレシピを聞いてみた。

レミさん「私、あれが好き。『ホタテどっち』。あれすごく美味しいのよ。

【ホタテどっち】

どうしてかって言うと、あれはエリンギの方に片栗粉をくっつけて、ホタテの方には片栗粉くっつけないでじっじっと焼くの。そうやってホタテを焼いていると、汁がいっぱい出てきてその汁がエリンギの方の片栗粉にくっつくから、もうホタテの旨味が全部、片栗粉につくからね!どっちがホタテだかわからなくなっちゃう」

ホタテどっち

レミさんがエリンギの食感や見た目が貝に似ていると気づいて考えたレシピ。

筆者もレシピどおり作ってみましたが、簡単で本当にエリンギを食べているのかホタテを食べているのかわからなくなってしまうほどの美味しさ!まさにサプライズ料理です。

材料(2食分)

ホタテ貝柱(刺身用)…100g
エリンギ…2本(100g)
バター…20g
しょうゆ…小さじ1
片栗粉…適量

作り方

1.エリンギはホタテと同じ厚さに切り、両面にようじで切れ目を入れ、片栗粉を薄くまぶす。

【ホタテどっち】

2.フライパンにバターを弱火で溶かし、エリンギを炒め、火が通ったらホタテを加え、しょうゆで味をととのえる。

※ホタテのエキスをエリンギに吸わせたいので、エリンギのほうだけに切れ目を入れて片栗粉をつける。

今回の「ホタテどっち」のように、料理に遊び心を入れてしまうのが平野レミ流。

野菜の皮もおいしく食べるべし

また、この本では、ジャガイモの皮やブロッコリーの茎なども活用し、美味しく食べられるように工夫したレシピが載っており、フードロスにも貢献できそうだ。

レミさん「皮は身との間に、栄養がいっぱい入っているという風に言われているじゃない。だから、皮なんか絶対捨てちゃもったいないのよ。皮だって綺麗に洗えば食べられるし、また噛むことは、脳みそにいいって言うから。

だから本にあるレシピのように料理して、私は皮も美味しく食べているの。人参だっていつも皮を剥かないでそのままレタスとサラダにしちゃったりしているわ」

味に妥協なし!いつも作っている美味しいものだけを載せた

今回の本の中で「レミさんのヘビロテレシピはありますか?」と聞いたら、「いつもいつも作っているものばかりを載っけた」とレミさん。

レミさん「私の料理ってやたらに簡単だからなんか不安になるみたいだけど、食べてみるとみんな“美味しいね~”って言ってくれるの。

料理をしていると『こうやろうとか、ああやってみよう』とかどんどんアイデアが出てくるのよね」

【ヤンニョム豚テキ】

そんなレミさんと先日仕事で一緒になったというタレントの澤部佑さんは、今回のレミさんの本を読んで「ヤンニョム豚テキ」を作って食べたらしく、「めっちゃ、うまかったです!」とベタ褒めだったそうです。

レミさん「このメニューは豚に、ちょっと砂糖をまぶしてもみ込んでおくのよ。砂糖を使うと、豚肉がやわやわになるの。そしてタレを全部肉に絡ませるんだけど、これが美味しいのよね」

「ヤンニョム豚テキ」は、1人分でも手軽に作れて、ご飯が進みそうなメニューです。

ヤンニョム豚テキ

材料(1人分)

豚肩ロース肉(とんかつ用)…150g
砂糖…少々
塩…少々
片栗粉…小さじ2

A.長ねぎ(みじん切り)…10センチ/おろしにんにく…小さじ1/サラダ油…小さじ2

B.コチュジャン…大さじ1/2/しょうゆ…大さじ1/2/酒…大さじ1/2/砂糖…大さじ1/2

サラダ油…適量
キャベツ(ざく切り)…適量

作り方

【ヤンニョム豚テキ】

1.豚肉は砂糖をまぶしてもみ込んで10分ほどおき、塩と片栗粉をまぶす。

2.フライパンに油を熱し、1を入れて両面焼く。

3.耐熱容器にAを入れ、ラップをして2分~グッタリするまでチンする。Bを加えて混ぜ、さらに30秒チンする。

4.2の豚肉に3のたれをかけてからめる。食べやすく切って、器にキャベツと盛る。

レミさんにとって「料理がもたらす幸せ」とは?

最後に、レミさんにとって料理とはどんな幸せをもたらしてくれるものなのか、聞いてみました。

レミさん「料理って“美味しいもの作ろう”っていう人と“食べて美味しかった”っていう人の相乗作用みたいに幸せが高まっていくものだと思っている。これは、愛よね。愛なのよ。

音楽は耳で幸せを感じ、絵は目で幸せを感じるけれど、料理は五感全部で幸せを感じることができる。しかも、食べられるんだから最高よね。

こんないいものだから、みんなお料理やればいいと思うよ!

最近、出来合いのものはいっぱい売っているけれど、原点に帰って、みんなにお料理を作ってほしい。

その作ったものを家族に食べてもらう。家族の喜ぶ顔もね、見たいし。だって、買ってきたものをそのままチンして子供に出すのと、お母さんが一生懸命手作りして『はい、できたわよ』って言って料理出すのとは、子供たちの幸せ感が違うと思うのよね。その積み重ねがとっても大事だと思うのよ。

うちの息子たちだってちゃんと料理するんですよ。なんにも手伝わなかったけど、今はすごく料理するの。それは私の姿を見ていたからだと思うのね。毎日の積み重ねって大切よね」

料理愛を熱く語ってくれたレミさんのレシピには味の妥協はありません!

無理なく料理が続けられそうな簡単でおいしいレシピばかりが並んでいるので、ぜひ1冊手にとって、自分ができそうなものや家族が喜んでくれそうなものから挑戦してみてはいかがでしょうか。

(うまいめし/ 後藤 晴美)

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