「中身は昭和のオッサン」“次の首相”候補の上川外相「女性が生まずして」発言撤回騒動に集まる批判

5月19日、前日の応援演説での発言撤回を表明した上川陽子外相(写真・時事通信)

5月18日、静岡県知事選応援のために、静岡市で開催された女性集会で演説をおこなった衆院静岡1区選出の上川陽子外務大臣の発言が、物議をかもしている。

上川氏は応援演説で「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性が生まずして何が女性でしょうか。生みの苦しみは、きょう男性もいらっしゃいますが本当にすごい」「(私の選挙の)初陣のときに『生みの苦しみにあるが、ぜひ生んでください』と訴えたが、生みの苦しみは本当にすごい。しかし、生まれてくる未来の静岡県や、いまの静岡県を考えると、私たちはその手をゆるめてはならない」と訴えた。

「全体の文脈をみれば『女性の力で、候補者を静岡県知事として誕生させてください』という流れなのですが、それを出産にたとえてしまったことで批判されています。野党はもちろんですが、自民党内からも『子どもを産めなくて苦しんでおられる方が、報道された一部の文言だけを見て不快に思うこともありうる。この発言は不適切だった』と指摘する声があがっています」(政治担当記者)

上川氏といえば、自民党の麻生太郎副総裁が1月28日に福岡県内でおこなった講演が記憶に新しい。麻生氏は上川氏の外交手腕を評価しながらも「俺たちから見てても、このおばさん、やるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども」と、容姿を揶揄するような発言をしたのだ。

その際に国会で「なぜ麻生氏に抗議しないのか」と質問された上川氏は「さまざまなご意見があると承知しているが、どのような声も、ありがたく受け止めている」と述べるにとどまり、事態の沈静化を図っていた。今回は、自らが発言の釈明をする立場になってしまったようだ。

「上川大臣は19日、記者団に『女性パワーで未来を変えるという、私の真意と違う形で受け止められる可能性があるという指摘を真摯に受け止め、このたび(発言を)撤回をさせていただきたいと思います』と語りました。

これまで法務大臣、外務大臣など重要閣僚を歴任し、上川大臣の実務能力の高さは国内外問わず広く知られているところです。麻生氏が周囲に『岸田の次』と発言したとも言われ、各マスコミの世論調査では『次の首相にふさわしい人物』で上位に食い込んでいます。

さすがに“岸田首相の次”とはいきませんが、女性人気も高く、自民党としては党勢挽回の切り札にしたい存在でした。今回の発言がどこまで響くか未知数ですが、すばやい撤回にはそういった思惑もあるようです」(自民党関係者)

4月28日に投開票された衆院3補選で、事実上の3敗を喫した自民党。静岡知事選を、上川氏が『絶対に負けられない地元の首長選挙』と考えていたのは想像に難くない。しかし、今回の発言にXでは《中身は昭和のオッサンやないかい》《一番まずい。 総理はない、このままでは》など、上川氏の感覚の古さに、批判が集まっていた。

将来の首相候補がこれでは、先が思いやられる。

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