【漫画】美しい黒髪が悩みの高校生男子、解決するのは天然パーマ女子? SNS漫画『宮流くんの髪はきれい』

天然パーマがコンプレックスの女子高生・迎野は、前の席に座る神社の跡取り息子・宮流の艶やかな長い黒髪が気になって仕方ない。ひょんなことから2人は仲を深めていくが、迎野は神社についてのよからぬ噂を耳にしてーー。

Xに5月上旬に投稿された『宮流くんの髪はきれい』は、2人の高校生の対比が面白く、土着信仰をモチーフにしたファンタジーとともに、憧れや友情が与えてくれる力を感じさせてくれる意欲作だ。

「ゲッサン新人賞」で佳作と評価された本作を手掛けたのは、成人して就職について考えた時、「大好きな漫画を仕事にして生きていきたい」と決意し、本格的に漫画制作に取り組むようになったと話す古西さん(@kurumaru_inu)。現在本業漫画家として活動する古西さんに制作秘話など話を聞いた。(望月悠木)

■宮流の髪を描くのに苦労

――今回『宮流くんの髪はきれい』を制作した背景は?

古西:当時通っていた美大のマンガ専攻の課題で制作した作品です。宮流の髪や背景を描くのがめちゃくちゃしんどかった思い出があります。

――なぜ“髪の綺麗な男の子”をメインにしたのですか?

古西:散歩していた時にパッと思い浮かびました。恐らく、昔読んだ『うしおととら』(小学館)の断髪シーンや、『犬夜叉』(小学館)の生贄に捧げられるシーンなどが印象に残っていたことが影響したのだと思います。また、当時は“キャラクターに葛藤させる”ということを大学で学んでおり、そこを活かして宮流くんが葛藤する展開になるように、ストーリーを膨らませました。

――そんな宮流ですが、どのように作り上げましたか?

古西:“髪を捧げるかどうかを葛藤するキャラクター”ということは最初に決まっていました。また、そんな宮流になるべくポジティブな反応を返してくれる根明な主人公と組み合わせたかったため、自然と迎野はあんな性格になりました。

――綺麗な黒髪ロングの男子・宮流、短髪のパーマ女子・迎野と、性別だけではなくビジュアルもある意味対比していましたね。

古西:宮流は設定上、巫として清らかでなければならないため、おしとやかだけど浮世離れしたようなビジュアルにしました。一方、迎野はそれと正反対に親しみのある、平凡で誰とでも仲良くなれそうな雰囲気を意識しました。

――ちなみにうがみさまのビジュアルはどのように考えましたか?

古西:最初のデザインは龍でした。しかし、既存のファンタジー作品と被ってしまう可能性があったため、タツノオトシゴをモデルに1から自分でデザインしました。

――宮流の髪は綺麗に描かれていました。宮流の髪を綺麗に描くうえで意識は?

古西:やはり艶です! ホワイトで艶入れするのが本当に本当に大変でした……。光の当たり具合などを1コマ1コマ意識して何度も修正しました。

――オカルト部に所属している友達からうがみさまの噂を聞いたりなど、自然にストーリーを展開するために細かい設定にまで目を向けられていた印象です。

古西:普段ストーリーを考える時は、なるべく本来描きたいテーマから逸脱しない範囲でいろいろなパターンを考えています。今回はラストが最初から決まっていたため、スムーズに道筋をつなげられたと思っています。いつもラストから思いつくことができれば楽なんですけど……。

――最後に今後の目標など教えてください!

古西:読み切りをとにかくたくさん描いて、どんどん発表していきたいです! ゆくゆくは連載を掴み取りたいです!

(望月悠木)

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