中条きよし議員、60%“高利貸し”疑惑に新展開 1000万円借りた当事者が本誌に初告白した「金利欄」

“高利貸し”疑惑について釈明する中条きよし議員(写真・時事通信)

金を貸せば友を失う……どころの騒ぎではない。“職”まで失いかけているのが、歌手で、日本維新の会の参院議員の中条きよしだ。

「『週刊ポスト』が、中条氏の出資法違反疑惑について報じ、大騒動になりました。記事によると中条議員は、2021年、20数年来の付き合いがある知人のA氏に1000万円を貸しつけた際、年利60%の利率とする契約を結んでいたそうです。法律上、金利の上限は20.0%ですから、同誌は出資法違反にあたる疑いがあると指摘しています」

一方、中条議員は5月8日に藤田文武幹事長とともに会見に応じ、記事を真っ向から否定している。中条氏は、

「金利の話がありましたが、事実無根です。周囲の人間や友人など、調べていただければいろいろわかると思う」

と語ったうえで、

「(契約書の)金利の部分は空欄になっています。金利をもらおうと思ったことは一度もない」

と、“60%金利”を否定した。一方「週刊ポスト」側は、中条氏とA氏がかわしたという金銭消費賃借契約書を確認していると主張。金利の欄にかかれた「12」という数字の上に消し線が引かれ、手書きで「60」と記されたうえ、A氏の訂正印が捺してあったという。

中条議員の“高利貸し”疑惑の真相は――。

「こんなことになって、中条さんには本当に申し訳ないと思っています」

と語るのは、中条議員から1000万円を借りたA氏その人だ。

「たしかに、私は中条議員から1000万円を借りましたし、『週刊ポスト』から取材を受けました。ただ、記事のニュアンスは私の認識とはかなり違います」

A氏は当時、妻が妊娠中で生活費が足りず、旧来の仲である中条議員に金銭的な助けを求めたという。

「もちろん、金額が金額ですから、金利の話にもなりました。当初、中条さんは『金利は100%』とおしゃってましたが、これはさすがに冗談だったと思います。いちおう60%ということで、まずは50万円ずつを2021年2月から6月まで支払い、7月からは中条さんにお願いして半分の25万円ずつ支払うことになりました。これまで総額で、370万円くらいは金利としてお金を渡しているということになります」

A氏が語る金利の支払い経緯については「週刊ポスト」が報じているとおり。であれば、報道が正しく、中条議員が高利貸しをおこなっていたのはゆるぎのない事実となる。だが、ここから事態はさらに複雑になる。

「じつは、最初の契約以後、2回ほど、契約書の更新をおこなっているんです。最初は生活費ということでお金を借りていましたが、返済すべくいろいろな投資案件を見つけては、中条議員に説明していました。ですから途中からは、単なる金銭貸借というよりも、投資という意味合いのほうが強くなっていたのです。中条さんは、元本の返済を強く求めてきたので、私が持っている、日本に進出してきたある飲食店の未公開株を相談しました。もしもこの株が株式上場などで売却できた場合、その売却益を返済に回すという特約をつけたんです。そして、この未公開株について記載がある契約書には、中条さんが主張するとおり、実際に金利のところに数字が書かれていません」

そう言ってA氏が提示する契約書は、たしかに1000万円の貸付や、2022年12月20日付けで記された双方のサインと捺印。さらに、売却益に関する特約条項も書かれている。しかし、金利の欄は空欄のままだ。

「中条さんはこの契約書をもって、60%の金利を受け取っていた事実はないと主張されているのだと思います。となれば、私がすでに支払った370万円は元本の返済に当たるということなのでしょうか……。とにかく、私が借りておいて、いまだにお返しできていないのは事実です。そのうえ、このような騒ぎになっているのは本当に申し訳ない。少しずつでも返済できていければと思っています」

A氏の“謝罪”をどう受け取るのか。本誌は、中条議員の携帯電話に電話をかけたが、無言のままで取材に応じることはなかった。

「中条さんの周辺には、儲け話を持ち込んで出資をねだる人が非常に多い印象です。中条さんも山っ気があるので、すぐに話を聞いてしまう。僕が言うのも何ですが、気をつけたほうがいいのは間違いないですね」(A氏)

国会議員にしては、あまりに脇が甘すぎる。

© 株式会社光文社