介護付有料老人ホーム主体に高級化戦略を執る、チャームケアの強さと背景

チャーム・ケア・コーポレーション(東証プライム。以下、チャームケア)。近畿・首都圏で介護付有料老人ホームを中心に、介護施設を展開。高価格帯案件に注力。収益動向は四季報業績欄の見出しを拝借すると【快走】。

連結決算に移行した2021年6月期の「売上高229億8400万円、営業利益20億1500万円、純益15億3500万円、5.5円増配12円配」以降、「26.5%増収、11.5%営業増益、92.2%最終増益、5円増配17円配」「30.3%増収、81.8%営業増益、8.6%最終増益、5円増配22円配」。そして今期も「24.1%の増収(470億円)、14.4%の営業増益(48億円)、15.4%の最終増益(37億円)、4円増配26円配」計画に対し、開示済みの第3四半期は「前年同期比31.6%増収、81.1%営業増益、63.1%最終増益」といった状況にある。

今後に関する姿勢も「ローリング方式(毎年、長期計画を変えていく)」を採用し、目下「売上高1000億円、経常利益100億円」。並行し25年6月期を「売上570億円、営業利益56億8000万円、46億円」目標としている。

快走には、それだけの背景がある。26年6月期の運営居室数7878室(25年6月期比900室増)を掲げているが、84%強が「介護付有料老人ホーム」。介護付有料老人ホームは報酬が固定額であり、収益が見込みやすい。自治体の指定が不可欠であり、参入障壁が高い。

加えて高級化志向が拍車をかけている。例えば東京品川区の「空室あり」の案件では「前払い金0円~1億500万円」で月額利用料金は「26万4350円~239万9700円」といった按配。「30年間勤めあげて手にする厚生年金18万円から20万円水準」では、手も足もでない。が、入居率は97%近くと高水準。

チャームケアはここにきてM&A戦略にも積極姿勢を示している。一昨年半ばにはライク(東証プライム)から4施設を取得。買収当時の入居率74.5%を95.8%に引き上げている。

快走と並行し介護DX推進課で、見守り機器・インカム・コミュニケーションロボ・排泄ケア見直しなどの実証実験も進んでいる。見守り機器「ライフリズムナビ」は全室の54%強に導入されている。

本稿作成中の時価は1600円台出入り水準。予想税引き後配当利回り1.30%余り。年初来高値1717円から小幅調整場面。過去9年半余の調整済み株価パフォーマンスは13倍。押し目買い中長期構えが賢明か・・・

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