2024年7月26日に開会式が行われるパリオリンピックのメダル候補を紹介する「メダルへの道」。今回は、わずか1枚のパリ五輪への切符をつかみ取ったトランポリン代表の森ひかる選手(24)の成長した強さに迫ります。
【写真19枚】パリオリンピック代表選考会で演技を終え笑顔の森ひかる選手
金メダル期待された東京五輪で予選落ち「もうトランポリンをやめようと…」すし店でアルバイトも
2024年5月12日に行われた、トランポリンのパリオリンピック代表選考会。
前方3回宙返りをしながら2分の1ひねりを加える大技「トリフィス」を華麗に決め、わずか1枚のパリへの切符を勝ち取った森ひかる選手。
東京大会に続く2大会連続のオリンピック出場を決め、とびきりの笑顔を見せました。
しかし、ここに至るまでには様々な苦悩があったといいます。
森ひかる選手:
東京五輪が終わってからは、もうトランポリンをやめようと思っていました。
2019年に世界選手権を日本人選手で初めて制し、金メダルが期待される中で臨んだ東京オリンピック。
当時大学4年生だった森選手は、プレッシャーでミスをしてしまい、結果はまさかの予選落ち。
競技後のインタビューでは、「オリンピックはそう簡単にうまくいかせてくれないなという風に思います」と涙ながらに答えていました。
酒主義久アナウンサー:
東京オリンピックのことを話すときは、まだ心の中でわだかまりってあったりします?
森ひかる選手:
過去は過去なんですけど…難しい感じです。
東京オリンピックの後、現役引退を考え、トランポリンから距離を置いたという森選手。
すし店でアルバイトをするなど、普通の大学生活を送りました。
しかし、東京オリンピックの翌年、ある決断をSNSに投稿します。
競技続行を決断 女王返り咲きのきっかけは単身渡英しての合宿
競技の引退も考えていた森選手ですが、東京オリンピック翌年の2022年2月、自身のインスタグラムで「競技を続けることを決めました」と投稿しました。
酒主義久アナウンサー:
もう1回「頑張ろう」って思えた、きっかけっていうのは何かあったんですか?
森ひかる選手:やっぱりトランポリンを飛ぶとすごく楽しくて、やっぱり私はトランポリンが楽しくて、トランポリンが好きなんだなっていうことを再確認できたっていうことが、一番良かったなと思っています。
気持ちを新たに実戦に復帰したものの、2022年の世界選手権代表選考会では、演技に精彩を欠き8位。
その年の夏、東京オリンピック銅メダリストのブライオニー・ペイジ選手(33)を頼りに単身渡英し、合宿を行う決断をします。
森ひかる選手:
もう一度続けようって思ったときのテーマが「トランポリンを通して、人としても成長する」っていうことで、1人で行くっていうのは、すごく大きな挑戦でした。
英語を話せない森選手にとって大きな挑戦。
これが本来のパフォーマンスを取り戻すきっかけになります。
2022年の11月に行われた世界選手権に出場すると、3年ぶりに金メダルを獲得したんです。
森ひかる選手:
あの世界選手権は初めて大会自体をすごく楽しめたといいますか、(東京五輪の頃より)めちゃめちゃ強くなったと思います。
技術だけではない部分でかなり成長したと思っているので、そこは自分に自信を持ちたいなというふうに思います。
パリ五輪は「トランポリンが楽しくてトランポリンが好きな気持ちを忘れずにみんなで戦いたい」
プレッシャーに押しつぶされた東京五輪から3年。
トランポリンの楽しさを思い出し取り戻した笑顔が、森選手の「メダルへの道」。
森ひかる選手:
トランポリンが楽しくて、トランポリンが好きだっていう気持ちを忘れずに、1人で戦うのではなく、みんなで戦いたいなって思います。
(2024年5月14日『めざましテレビ』放送より)