【鹿島】トップ下・鈴木優磨が縦パスから神戸を下す決勝点演出「悟られないようにしていました」

名古新太郎につなぎ、濃野公人が決める!「前半からけっこうタックルに来ていたのですが…」

[J1 15節] 鹿島 1–0 神戸/2024年5月19日15:00/県立カシマサッカースタジアム

J1リーグ15節、鹿島アントラーズが右サイドバックのルーキー濃野公人の今季4点目となるゴールで、前節まで首位のヴィッセル神戸に1-0の勝利を収めた。2位神戸、3位鹿島で、両チームは勝点29で並んだ。

前半なかなか起点になれず首を捻っていた鹿島の鈴木優磨だが、後半はギャップでボールを受ける機会が増加。チャヴリッチ投入後はセンターフォワードからトップ下にポジションを変えて、81分、安西幸輝のスローインを受けると縦に突き刺す縦パスを放ち、ラインブレイクに成功。背後へ抜けた名古新太郎のシュートがGK前川黛也セーブされたものの、詰めていた濃野が決めてみせた。

鈴木は試合後、「前半からけっこうタックルに来ていたのですが、あまり笛が鳴らなくて、ちょっと今日はファウルを取られないのでキツイなと思っていました。ファウルかどうかのギリギリの駆け引きで主導権を握る戦い方もあり、今日は取ってもらえず『厳しいな』と思いながらプレーしていました」

相手ディフェンダーを背負うプレーも、この日の判定基準では分が悪いと判断。そう感じた鈴木は後半、トップ下でのプレーをむしろ望んでいたという。

「特に(左サイドバックの)本多(勇喜)選手のほうは、サイドチェンジすると必ず落下地点に追い付けていて、なんでだろう? とずっと思っていました。ハーフタイム、モロ(師岡柊生)には、その間を走ってくれと伝えました。そして次第にオープンな展開になって、走りやすくなっていったと思います。

今日、自分は背負って戦うのが、ちょっとファウルにならず正直キツイと感じ、早めにトップ下に入りたいとも思っていました(苦笑)。前を向いた時の景色も、相手が疲れてきているなと感じていました。

すごくスペースが空いてきていて、トップ下に入れば(パスを)出せるなと思っていました。

そして顔を上げると、名古(新太郎)ちゃんと目が合っていました。(得点シーンは)いかにそこに出すのかを、悟られないようにしていました。本当、誰も予想できなかったと思います」

そのように一瞬の隙を突いたシーンだが、決して偶然ではなく、”狙っていた”ゴールだったと頷いた。

「ただ、それ以外は、自分自身もあまり乗り切れていなかった。それだけに、(ピッチに)残っている意味を証明したかった。苦しい試合でしたし、神戸は本当に強かったです。上位に常にいる上手い選手があれだけハードワークをしたら、それは強いよなと思います。今日はセンターバックがよく抑えてくれて(大迫勇也、武藤嘉紀はシュートゼロ)、勝てたし良いゲームができました」

鈴木はそのように喜ぶとともに、改めて神戸の強さも実感したという。

前線の色々な役割をこなせる。昨季はその能力値を、なかなかチームに還元しきれず苦しんだ。今季はランコ・ポポヴィッチ監督のもと、その様々な役割がチームに活用され、そのなかで、どうすれば最も相手にダメージを与えられるか模索している。

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この日の起点となったキラーパスは、鈴木の可能性をより広げるプレーになったと言えた。その日の条件や環境を考えたうえで選択したプレーとスタイル。そこから生まれた濃野のゴールにより、ホームの大声援を受けた鹿島が神戸から大きな勝点3を掴んでみせた。

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