64歳からもらえる特別支給の老齢厚生年金を66歳以降に繰下げすれば、カットされずにもらうことはできますか?

年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、特別支給の老齢厚生年金の繰下げについて、専門家が解説します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。 今回は、特別支給の老齢厚生年金の繰下げについてです。

Q:64歳からもらえる特別支給の老齢厚生年金を66歳以降に繰下げすれば、カットされずにもらうことはできますか?

「1960年11月生まれ、男性です。64歳から特別支給の厚生年金が出るそうですが、60歳で退職後、別の会社で仕事をしていて年支給額が交通費込みで500万円ほどあります。この場合だと、月12万円の特別支給の老齢厚生年金のほとんどがカットされる計算になります。65歳からは仕事をしない予定ですので、66歳以降に請求すればカットされずにもらうことはできますか?」(GOGOさん)

A:特別支給の老齢厚生年金は、繰下げできません

相談者「GOGO」さんは、在職老齢年金制度によって、64歳から受け取れる特別支給の老齢厚生年金のほとんどがカットされてしまうことを心配しているようです。 60歳以降、厚生年金に加入して給与収入を得ると、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の月額と、給与収入など(総報酬月額相当額)の合計が、ひと月あたり50万円を超える場合には、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の一部または全部が支給停止になります。 そもそも老齢年金の繰下げ制度とは、65歳から受け取れる老齢基礎年金と老齢厚生年金を、65歳で受け取らずに、66歳以後、75歳までの間で繰下げて、増額された年金を受け取るという制度になります。 しかし特別支給の老齢厚生年金は、65歳になる前に受け取れる年金になりますので、繰下げ制度の対象にはなりません。受給開始年齢に達したときは速やかに請求するようにしましょう。 監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー) 都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。 (文:All About 編集部)

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