伊藤園「お~いお茶」透き通った黄金色の液色でおいしさ追求 新茶を加えて旨味・あまみ・香り立ちが一層感じられる味わいに刷新

伊藤園は、緑茶飲料トップブランド「お~いお茶」の旗艦商品「お~いお茶 緑茶」を刷新して5月20日にリニューアル発売する。

同時に5月よりヨーロッパで新たに販売を開始する世界の品質基準に合う「お~いお茶」の飲料用原料を使用した新製品を展開して、販売数量で足踏み状態にある緑茶飲料市場の活性化を図る。

4月12日取材に応じた伊藤園の安田哲也マーケティング本部緑茶ブランドグループブランドマネジャーは「“世界へ”を来期(4月期)のメッセージに掲げる。昨年、世界に向けてグローバル広告を発信し、そこから逆輸入する形で話題となった。今年も世界から見た『お~いお茶』を日本の文化とともに多くの共感が得られるようにしていきたい」と意欲をのぞかせる。

「お~いお茶 緑茶」の刷新については「10年来ぶりの規模の大きさを予定している。茶産地育成事業によって生産された茶葉で『お~いお茶 緑茶』の全量を賄えるようになった」と自語る。

伊藤園の安田哲也マーケティング本部緑茶ブランドグループブランドマネジャー

1990年に確立した同社独自の特許技術「ナチュラル・クリアー製法」で、おいしさは残しながら劣化原因であるオリを除去し、透き通った黄金色の液色を追求。
今回、期間限定で新茶を加えて旨味・あまみ・香り立ちが一層感じられる味わいに刷新する。

ナチュラル・クリアー製法で劣化原因を除去することで飲用時品質を担保している。

「リーフでは淹れたてが一番おいしいが、パッケージ飲料で淹れたては提供できない。製造・物流を経てお客様にお届けするまでに2~3週間はかかることから、そこから逆算して原料・製造を追求している」と語る。

お茶の大敵は酸素で、主流容器のPETは未開栓でも酸素を若干透過してしまう性質を持つ。

「お茶の劣化の速さを表す“宵越しのお茶は飲むな”という言い伝えがあるが、PETはその限りではない。ドリンク専用の茶葉と独自製法を取り入れて、飲まれるまでの時間を考慮しながら酸素や熱の影響をコントロールしてキャップを開けた瞬間に一番おいしい状態を想定している」と説明する。

鮮度保持の取り組みでは、仕上げ加工した原料茶葉の在庫を極力なくし、飲料工場が必要とする量だけを仕上げ加工するやり方を追求している。

「仕上げ加工後は時間の経過とともに鮮度が損なわれるため、必要量だけを仕上げ加工して飲料工場に送るようにしており、その精度を年々高めている」という。

今年2月に発売35周年の節目を迎えた「お~いお茶」。35年間培った独自技術と原料調達力に磨きをかけ販売増を目指していく。

なお同社調べによると、2023年の緑茶飲料市場販売金額は前年比5%増の4570億円となる見通しで、過去最高だった2005年の4470億円の記録を更新すると見られる。

これは、各社の価格改定や大型ペットボトル(PET)の価格攻勢を抑制し売上構成比を大型PETから中型PETへシフトする容器ミックスの改善によるところが大きく、販売数量は節約志向の高まりによりPBが支持を集めNBが苦戦。水カテゴリーへの顧客流出も進んでいる。

「お~いお茶」の23年販売数量は前年を下回ったものの「他のNB商品の落ち込みに比べ善戦した」とみている。

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