『鬼滅の刃』OPの“キャラの向き”には意味がある? 隠された演出を過去シリーズまで調査

『鬼滅の刃』のファンの間で話題になっている、OPにまつわる“ある法則”をご存知だろうか。それは、各編のオープニング映像に登場するタイトルロゴの後に描写されるキャラクターたちの向きに関するものだ。

これまでのシリーズのオープニングでは、最初にタイトルロゴとともに主人公の炭治郎とその章のキーパーソンとなるキャラクターが正面を向いた構図になるのが定番となっている。しかし、その後に炭治郎とともに、キャラクターが左右どちらかの方向を向くのだ。

例えば、「無限列車編」のオープニングでは、煉獄杏寿郎と炭治郎が左右反対方向を向くのに対し、「遊郭編」のオープニングでは、宇随天元と炭治郎が左を向くのが興味深いポイントだ。

さらに、「刀鍛冶の里編」では、時透無一郎、炭治郎、甘露寺蜜璃がそろって左を向いている。これらの違いが何を意味しているのか。実際に作品を観た人なら、“煉獄だけが違う”ということから、その意味するところを想像できるのではないだろうか。あくまでファンの間での考察の域を出ないが、この法則を知るとOPに対する見方が一気に変わるだろう。

最新作である「柱稽古編」のオープニングは……ぜひ実際に映像を見て、今回は“誰が登場しているのか”と“向き”を確かめてみてほしい。

また、新しいオープニングの映像の中で注目を集めているのが、「無限列車編」のオープニングで煉獄杏寿郎が座敷の縁側を歩くシーンと似たような構図で、胡蝶しのぶが歩いているシーンだ。このシーンを見て、「煉獄としのぶが対比になっているのではないか」と、今後の展開を示唆しているのではないかと考える視聴者もいる。

■主題歌の歌詞にも意味がある
『鬼滅の刃』シリーズのこれまでの主題歌を振り返ってみると、LiSAの「紅蓮華」「明け星」、Aimerの「残響散歌」、そしてMAN WITH A MISSIONとmiletの「絆ノ奇跡」が挙げられる。これらの曲はいずれも『NHK紅白歌合戦』に出場するほどの大ヒットを記録し、アニメの世界観と見事にマッチした心に残る名曲となっている。オープニング映像とともに、主題歌もまた、視聴者の心に深く刻まれているのだ。

そして今回の「柱稽古編」のオープニング曲は、MY FIRST STORYとL'Arc~en~CielのボーカルHYDEによるコラボ曲「夢幻」。注目すべきは、この曲の歌詞にも『鬼滅の刃』の世界観が反映されていることだ。過去の「刀鍛冶の里編」のオープニングでも、先代から現生の隊士たちへの想いが繋がれていくような映像があったが、今回もまたそうした繋がれていく想いを表現したOPになっている。

HYDEとMY FIRST STORYのボーカルhiroが交互に歌うこのロックチューンは、『鬼滅の刃』のドラマチックな物語を鮮やかに描き出している。hiroのパートでは、主人公・竈門炭治郎たち鬼殺隊の奮闘が歌い上げられ、「花のように意志をつなぐ」といったフレーズからは、鬼に倒された隊士たちの意志を受け継ぎ、必死に戦う鬼殺隊の姿が浮かび上がる。一方、HYDEのパートでは、宿敵・鬼舞辻無惨たち鬼側の恐怖が歌い込まれている。「奪っていく嵐のように心を裂く」といった歌詞からは、鬼たちの獰猛さと冷酷さが感じられたのではないだろうか。

■「立志編」OPにも上弦の鬼たちのシルエットが
さらに、今回の「柱稽古編」のオープニング映像には、ほんの一瞬だが、上弦の鬼たち、黒死牟、童磨、猗窩座が映るカットもある。無限城編についてはまだ公式から発表はないが、最終回までに無限城編に突入する可能性も考えられるのではないか。ちなみに、以前放送された「立志編」のオープニングにも、よく見てみると無限城の中にいる上弦の鬼たちのシルエットがうつっているカットがあるので、今一度見返してみるのも面白いかもしれない。

キャラクターの動きや表情、背景の描写、そして主題歌の歌詞にいたるまで、隅々まで作り込まれた演出は、視聴者を物語の世界により深く引き込んでいく。アニメ本編が終わった後の、オープニング映像との“答え合わせ”も楽しみ方の一つだろう。
(文=すなくじら)

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