【中国】日本の酒造会社、ウイスキーで中国開拓[食品]

日本の酒造会社が、 ウイスキーの中国展開に力を入れている。展示会や交流サイト(SNS)などを通じたプロモーションを本格化させており、中国でも若者を中心に認知度が高まるジャパニーズウイスキーの魅力を伝え、成長市場の掘り起こしを狙う。

中国国内外のウイスキーメーカーなどが集まり、商品の試飲・販売を行うウイスキーフェスティバルが17~19日に北京市で開かれ、日本の酒造会社も初出展した。

若鶴酒造(富山県砺波市)は、シングルモルト「三郎丸」シリーズを試飲してもらい、日本の蒸留所では珍しいピート由来のスモーキーな味わいをPR。稲垣貴彦最高経営責任者(CEO)は「中国では若い世代にもウイスキーが親しまれるようになっており、魅力的な市場だ」と述べ、展開を強化していく考えだ。同社は2030年をめどに売上高に占める海外比率を足元の2割から5割まで高め、海外売上高のうち中華圏を3~4割にする目標を掲げる。

試飲してその場で4本購入したという北京市の男性会社員は、「巧みな工夫が感じられておいしい」と声を弾ませた。

西酒造(鹿児島県日置市)は、シングルモルト「御岳 THE FIRST EDITION 2023」を1,000本限定で発売する。中国での販売価格は1,488元(約3万2,000円)と日本の倍以上だが、5月中旬に中国のインフルエンサーが動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」で紹介すると、1時間で約50本が売れたという。フルーティーですっきりとした口当たりが特徴で、西酒造の担当者は「中国の若年層からは飲みやすいと評判だ」と手応えを感じている。中国を皮切りに韓国などにも展開していくという。

■市場規模4倍以上に

日本貿易振興機構(ジェトロ)が設けた日本館には日本の酒造会社など19社が、ウイスキーや焼酎など約250銘柄を出品した。

薩摩酒造(鹿児島県枕崎市)は、主力ブランドの芋焼酎「白波」シリーズを並べ、健康志向が高まっている中国の消費者に「糖質ゼロ、プリン体ゼロの健康的なお酒」とアピールした。

中国で蒸留酒といえば「白酒(パイチュウ)」が代表的だが、近年は若い消費者の嗜好(しこう)が広がり、ウイスキーの人気も高まっている。中国のアルコール飲料の業界団体、中国酒業協会によると、中国ウイスキー市場の2023年の規模は55億元となり、13年の12億8,800万元から4.3倍に拡大した。23年の輸入量は前年比0.8%増の3,222万リットルで、輸入元は英国、米国、日本の順に多かった。

北京市で開かれたイベントで、来場者にウイスキーを振る舞う若鶴酒造の稲垣貴彦CEO(左奥)=17日

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