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●「いい気分転換に」
加賀市山中温泉の山中座の定期上演「山中節四季の舞」に、能登半島地震の被災者を招いた特別公演(北國新聞社後援)は19日、同施設で行われ、被災者や観光客ら約70人が山中芸妓(げいぎ)、座員らの哀愁を帯びた唄や踊りを堪能した。被災者も山中節を歌ったり、踊りの輪に加わったりして楽しみながら気分転換を図った。
山中座では施設が開設された2002年から、毎週土日曜、祝日の午後3時半から約40分間、有料の定期上演を続けている。特別公演は、湯治に訪れた北前船の船頭衆が湯船につかりながら歌ったとされる山中節に親しんでもらおうと、山中節振興会などが市内に2次避難している被災者らを招待した。
舞台では、北國風雪賞受賞者で山中温泉芸妓組合代表のぼたんさんら芸妓と座員が唄と踊りを繰り広げ、山中節ふるさと教室と上口昭久民謡会の児童も伸びのある歌声を披露した。
北國風雪賞受賞者で振興会認定講師の重岡正子さんによる山中節道場も開かれ、被災者4人がマイクを握り、歌声を響かせた。最後は「こいこい音頭」の輪踊りに被災者も加わり、会場に笑顔を広げた。
金沢市の親族宅に身を寄せる輪島市鳳至町の舩本友子さん(70)は29日の仮設住宅入居が決まり、片山津温泉に2次避難中の友人らと一緒に訪れた。初めて山中節を歌った舩本さんは「難しかったが、いい気分転換になった」と喜んだ。