ガクテンソク「THE SECOND」制覇で〝吉本鎖国〟加速か 証明された中田カウスの〝主張〟

「THE SECOND」を制したガクテンソクのよじょう(左)と奥田修二

結成16年以上のコンビで争う漫才の賞レース「THE SECOND~漫才トーナメント~2024」が18日、フジテレビで行われ、結成19年目のガクテンソクが2代目王者に輝いた。今回の大会の結果、「〝吉本鎖国〟がますます加速するのでは?」という見方が浮上している。

「THE SECOND」は1対1の〝ガチンコ対決〟で行われ、トーナメント形式。審査は観客である一般審査員の投票で行われる。8組のファイナリストのうち、ラフ次元、金属バットを破ったガクテンソクと、タイムマシーン3号、タモンズを破ったザ・パンチが決勝に進んだ。

決勝は先攻のザ・パンチが243点だったのに対し、後攻のガクテンソクは294点という大会史上最高得点を獲得。見事優勝を果たした。

今回の大会では、ファイナリスト8組中、吉本興業所属が6組。しかもベスト4に進んだのはすべて吉本所属のコンビだった。

ツッコミの奥田修二(42)とボケのよじょう(42)が組むガクテンソクは昨年4月に東京進出したが、それまではずっと大阪の劇場を中心に活動してきた。ガクテンソクが倒したラフ次元、金属バットも大阪の劇場で活動。また反対のブロックでは、準優勝のザ・パンチやタモンズ、ななまがりは東京の劇場で活動している。

つまり今回の大会は、それほどテレビには出ていないが、吉本が持つ東西の劇場を沸かせているコンビが活躍した大会になったと言える。この結果に「一番ニンマリしているのは中田カウスさんかもしれません」と言うのはお笑い関係者だ。

お笑い界では今年の年明けから〝吉本鎖国〟が話題になった。これは吉本の劇場で行うライブに他事務所の芸人を呼んではいけないというお達しが出たため、若手芸人の間で騒ぎになったのだ。

この〝吉本鎖国〟を先導したのがカウスだ。上方漫才協会の会長を務めるカウスは、若手の育成に力を注いできた。大阪・なんばに2014年にオープンしたよしもと漫才劇場は、若手育成の場として機能してきた。

「ガクテンソクも漫才劇場で銀シャリや和牛、かまいたち、スーパーマラドーナ、ミルクボーイ、霜降り明星らと切磋琢磨してきた。実力的には他のコンビに引けを取らないとみられていたが、M―1グランプリではガクテンソクだけはどうしても結果を残せず、なかなかブレークできなかった」(同)

そんな〝隠れた実力者〟がここに来て「THE SECOND」優勝という形で一気に花開いた。

「カウスさんからすると、『自分のやり方は正しかった』とあらためて思ったのでは。カウスさんが主導する〝吉本鎖国〟は『みんなが切磋琢磨している吉本の劇場は、そんなに簡単に出られるところではない』という思いから。ガクテンソクの優勝はそれを証明した形になった」(同)

さらにザ・パンチ、タモンズらの躍進により、「東京の劇場も機能している」ということも証明。それだけに「〝吉本鎖国〟は今後、さらに加速するかもしれません」と同関係者は指摘した。

ガクテンソクは優勝した直後に行った記者会見で、今後の目標を聞かれると、よじょうが「劇場とかでトリとかやってみたいですけどね」。奥田も「漫才師としてはそうですね」と応じた。

吉本での漫才師の最高峰は〝お笑いの殿堂〟なんばグランド花月のトリだ。奥田は「僕たち世代でなんばグランド花月で大トリとかになると、名前が出てくるのって和牛さんとかプラス・マイナスさん、銀シャリさんやったんですけど、(両コンビともに解散したため)銀シャリさんだけになってしまった」としたうえで、「銀シャリさんを1人にしたくないな、とはこっそり思ってました」。今後は銀シャリとともに吉本の漫才を担う覚悟を示した。

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