岩手県北上市/工学系市立大学設置へ基本構想に着手、8月に有識者会議設置

岩手県北上市は、工学系市立大学の設置に向けた基本構想の策定に着手する。8月ごろに外部有識者で構成する会議体を設置し、施設整備や管理運営体制などの協議に入る。学部編成は工学系1学部1学科、設置場所は都市拠点エリアの再開発・整備事業と併せて市の中心部などを検討。2025年度に基本計画を策定し、設計と許可申請などを経て28年度の着工を想定。30年度の開学を目指す。
6月市議会の補正予算に747万円を計上する。議決を経て基本構想策定関連業務を7月にも委託する。発注方式などは未定。
市は若年層の流出抑制や地域産業を支える人材の確保・育成の観点から、設置形態や学部など関連調査に21年度から着手。23年度は研究などを踏まえ設置可否を判断するための基礎資料をまとめた。事業所向けヒアリング調査では、機械工学、電気・電子工学、情報工学、土木・建築などの専門分野の大学が求められていた。必要とされている卒業生の人物像は「地域産業の成長を後押しする広い知見を持つ人材」。
基本構想策定では、▽大学設置の意義・理念・教育目標▽学部学科構成・定員・施設整備▽開学時期▽大学名称▽管理運営・運営主体・立地場所-などの項目を議論する。本年度は大学の整備財源確保に向けた準備や、市民の理解を得る機運醸成なども図る。
大学の立地で学生や教員が回遊することで、まちのにぎわい創出も期待できる。入学者は1学年当たり80~120人を見込む。80人以上の定員で採算が取れるとし、着工から10年程度で136億~193億円の波及効果が見込まれると試算した。

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