愛人同士を“枕営業”で競い合わせ…“紙クズ社債”で80億円集め逮捕の男「カネと美女」に囲まれた“竜宮城”生活

5月14日に逮捕され、警視庁成城署に入る中村容疑者はやつれた様子だった(写真・共同通信)

逮捕された男は、札束の前で笑顔を見せる写真とまるで別人で――。

5月14日、警視庁は資産コンサルティング会社「ザ・グランシールド」社長の中村佳敬(よしたか)容疑者(46)、営業担当の秋元宙美(ひろみ、旧姓・渡部)容疑者(38)、佐武敬子容疑者(35)、鍵井チエ容疑者(34)らを金融商品取引法違反の疑いで逮捕した。

グランシールド社は「年利20%で元本保証」とうたい、信用保証会社「トラステール」の社債を無登録で募り、約1300人から総額約80億円を集金。トラステール社は業務実態がまったくなく、社債は紙クズ同然だった。トラステール社社長の高橋章容疑者(61)らも逮捕された。

「顧客から集めたカネが投資にまわってないことはわかっていました。中村さんも『いつかは逮捕される』と覚悟していたはず」と明かすのは、グランシールド社の元関係者だ。

中村容疑者は日本生命系の保険外務員から外資系保険会社に転職すると、辣腕外務員として高収入を得ていた。だが、転落が始まる。保険業界に詳しい関係者が話す。

「中村容疑者は、インセンティブ目当てに顧客の名前を無断使用する『カラ契約』に手を染めており、外資系保険会社を退職することに。さらに、インセンティブの返済を求められたことで巨額の負債を抱えたようです」

窮地に陥った中村容疑者が2016年に設立したのが、グランシールド社だ。そして、違法集金で得た大金を散財する。前出の元関係者が話す。

「誕生日パーティーと称して、今回、逮捕された面々や社債の顧客を呼んで乱痴気な宴会をたびたび開催。自慢げに高級シャンパンやワインを空けていました。

高級車を乗りまわし、キャバクラで豪遊。オフィスに4000万円以上の現金を持ってきて、それを見せびらかすこともありましたね」

その原動力となったのが、秋元容疑者、佐武容疑者を中心とした“色仕掛け”だった。

「秋元さんは中村さんが外務員時代に出会い、当時から不倫関係でした。佐武さんは、中村さんが通っていたキャバクラから“スカウト”してきたんです。

彼女も中村さんの愛人であることは、社内では公然の事実。当然、秋元さんと佐武さんは、中村さんの寵愛をめぐって仲が悪く、集金額を競い合っていました。2人だけで40億円超を集めていました」(同前)

グランシールド社では、顧客に販売した社債額の2割が担当者に支払われたという。秋元容疑者の顧客のひとりは、その営業手法をこう明かす。

「最初は中村容疑者から彼女を紹介されましたが、おっとりした優しい感じの印象。ホームパーティーにも招かれました。友人のような雰囲気を作るのがうまく、『顧客とは一生のつき合いをしたい』とよく話していました」

佐武容疑者は対照的だ。

「自分も投資で儲かっていることを強調し、『決断するときが成功するとき』を決めゼリフにしていました。胸元が開いたドレス姿で、顧客と連日、飲み歩いていましたし、“枕営業”をしていることも知れ渡っていました。

『性行為を撮らせたのに、200万円分しか買ってくれなかった』と憤慨しているのを聞いた社員もいます」(別のグランシールド社関係者)

中村容疑者は、自身で獲得したほとんどの顧客の最終契約を秋元容疑者か佐武容疑者にまかせており、相性次第で2人に振り分けていたようだ。

「配当支払いが滞るようになってからも、秋元さんと佐武さんは顧客と頻繁に会っていました。

中村さんの指示で、顧客引き留めのため“枕営業”に走ったのか、疲れた顔でホテルから出てくる秋元さんの姿が何度か目撃されていました」(同前)

“竜宮城”のように、愛人とカネに囲まれた中村容疑者。だが「逮捕の恐怖からか、この1年で急速に老けた」(元関係者)という――。

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