【夏場所】役力士が続々離脱の異常事態 芝田山親方が憂慮「稽古の問題が大きく影響している」

芝田山親方

大相撲夏場所(東京・両国国技館)が、危機的状況を迎えている。横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)と大関貴景勝(常盤山)は2日目から休場し、大関カド番の霧島(音羽山)も7日目に休場。役力士9人のうち、5人が離脱する異常事態となっている。この現状を強く憂いているのが、日本相撲協会理事で元横綱大乃国の芝田山親方(61)だ。

同親方は「休場者が多いのは、稽古の問題が大きく影響している。場所前は関取衆との稽古がほとんどできなくて出場してきたと…それは違うだろう。(部屋の)若い衆と汗をかいたぐらいで土俵に臨むのは、もってのほか。力をつけて上がってきている若手に、ぶっつけ本番で太刀打ちできるかと言ったら、非常に厳しい」と本場所前の準備不足を指摘した。

横綱大関がにわか仕込みで出場するばかりか、勝てないとみるや簡単に休場してしまう姿勢にも疑問を投げかける。「土俵からいなくなってしまうことが一番の問題。横綱大関は〝痛い〟とか〝かゆい〟とか言ってはいけない。それだけの地位と称号を与えられた人間なのだから。お客さんが見に来てくれて、われわれが生活させてもらっているのだから、出なくてはいけない」と苦言を呈した。

一方で、出場を続ける2大関も番付の重みを十分に示しているとは言い難い。8日目(19日)を終えて1敗の首位を2敗の琴桜(佐渡ヶ嶽)、3敗の豊昇龍(立浪)が追いかける展開。芝田山親方は「(横綱審議委員会の)山内委員長が言っていたように、番付崩壊の危機。(上位力士の中でも)崩れる力士はいるが、前半から崩れすぎだ」と厳しい目を向けた。

先場所から2場所連続で平幕優勝となれば、それこそ一大事。果たして角界は、このまま番付制度を維持できるのか。

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