DXハイスクールを推進するもデジタル人材不足は加速…有識者が指摘「教育の仕組みから抜本的に変えるべき」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、岸田首相が設立を表明した“AIの国際的な枠組み”について取り上げました。

◆岸田首相、AIの国際枠組み設立を表明も…

岸田首相は5月2日、フランスのマクロン大統領とパリの大統領府で会談。また、パリで行われたOECD閣僚理事会の開会式に参加し、その基調演説で生成AIを巡る国際的なルールづくりの新たな枠組み「広島AIプロセス フレンズグループ」の創設を表明しました。

これは昨年5月の「G7広島サミット2023」で打ち出した「広島AIプロセス」を、OECD加盟国などを中心に49の国と地域に拡大したものです。さらに、岸田総理は生成AIをテーマにしたイベントに出席し、GPAI(AIに関するグローバルパートナーシップ)の東京センターを新設し、偽情報対策として発信者情報を確認できる技術の実用化の支援にも力を入れるとしました。

◆不足するデジタル人材…日本は抜本的改革が必要

山田進太郎D&I 財団COOの石倉秀明さんは、「この取り組みは絶対に必要」と賛同する一方で、実現に不可欠な人材が不足している現状を危惧。これについては、国もすでに対策に乗り出し、この4月からはDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル教育を強化する「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」を推進しています。

石倉さんは「そうなると、中3や高1といった段階で将来を決めきる前に文理選択することになり、(将来が)イメージできずに(今は)数学が苦手だから文系に進む選択をする子が増え、そうした子はAI人材、デジタル人材になり得ない」と懸念。総じて、「教育の仕組みから抜本的に変えたり、デジタル人材を育成する投資がまだまだ足らない。そこをどこまで本気でやってくれるのか、逆に楽しみ」と今後に期待します。

石倉さんの話を聞き、キャスターの堀潤は、「スーパーサイエンスハイスクールなど(デジタルなどに)特化した育成をおこなってきたが、彼らがその後どのような人生を歩んだのか、その教育がどんな影響をもたらしたのかなどを検証してほしい。そうしたことができないのが、日本の弱さ」と指摘。

臨床心理士のみたらし加奈さんは、「理系のなかでもAI分野に進みたい子たちは機材も必要になってくるが、それは学校の資金力で変わってくる。なので、そうしたところにも助成金などが下りるべきで、みんながちゃんと学べる環境ができれば」と熱望します。

国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは、「これは"円”が関わってくる話」と語り、「例えば、今、日本はWebサービスやIT系のサービスで貿易赤字になっているが、この先、ますます使用料などをひたすら払い続ける国になるリスクがある。なので、自分たちが払うだけでなく、レベニューを取れるようにするなら相当抜本的な考え方が必要」と案じていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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