何だこのフェースは!?硬いのに柔らかい フォーティーン「PC-3」アイアン

やさしさの肝となる高弾道を完璧に実現したという複合系鍛造アイアンのNew「PC-3」(撮影/有原裕晶)

「TB-5 フォージド」がロングセラーのフォーティーンが、NEW「PC-3」を発売。フォーティーンのアイアンで最もやさしいカテゴリーで、3年振りにリニューアルした。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。気になる打感、顔、球筋についてはアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打した。

業界初の新素材でフォーティーン史上最薄のフェース

構えやすさを感じる、ほどよくシャープで美しい形状(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
創業40周年記念モデルとして2021年にフォーティーンが発売した「PC-3 アイアン」。今作は2代目になります。

【コウタロウ】
第一印象として、すごくカッコよくなりましたね。「TB-5 フォージド」以降のフォーティーンは、明らかにクラブのデザインがシンプルでオシャレになったと思います。イマドキのゴルファーの好みを分かっていますね。

【シオさん】
このアイアン、打ちたかったんですよ。でも、思ったよりアスリート系の雰囲気。見た目はやさしい感じではないですね。

ボール初速を追求したポケットキャビティ構造(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
いやいや、このモデルは「フォーティーンでこれまでになかったやさしいアイアンを作ろう」という思いで開発したので、やさしさが一番の魅力です。デザインはシャープですが、構造的にはポケットキャビティの鍛造ボディになっています。

【コウタロウ】
フェースは流行のクロモリ(ニッケルクロムモリブデン鋼)ですか?

【ミタさん】
フェース素材にもこだわっていて、8番からPWは高強度のニッケルクロムモリブデン鋼になっていますが、5番から7番は超高強度のエリート・D・スチールを使っています。この素材を使ったアイアンは業界初です。

フェース全域で飛躍的に反発性能が向上したという、フェース新素材の「エリート・D・スチール」(撮影/有原裕晶)

【シオさん】
上の番手だけ素材を変えるメリットは何ですか?

【ミタさん】
クロモリも反発性能は高いですが、新素材のエリート・D・スチールを使ったことでフォーティーン史上最薄のフェース厚1.75mmを実現しました。その薄さが反発性能を高めてくれるので初速が速くなっています。

【シオさん】
素材の違いは打って体感できるかな?

柔らかさの中に硬さのある打感

弾き感と乗り感が共存しているような、なんとも不思議な打感(撮影/有原裕晶)

【シオさん】
まずは7番アイアンを打ってみましたが、たしかにやさしい。軽く打っても高さが出ます。鍛造ボディとしては弾く感覚があって、想像していたよりも飛距離が出ました。ただし弾き系とはちょっと違う打感で、フェースに乗っている感覚もあります。

【コウタロウ】
バックフェースはアスリート的な雰囲気を第一印象で感じましたが、アドレスするとやさしい顔をしていて安心感がありました。この打感は独特ですね。決して硬くて弾くだけのフィーリングではありません。硬さの中に少し柔らかさもある。

純正のカーボンシャフトは、45グラム、55グラム、60グラムの3種類。すべてワンフレックス設計(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
インパクトの瞬間は手応えが強くてボールを飛ばす感覚があるけど、フェースとボールの接触時間が長いので打った後のフィーリングとしては柔らかさが残る感じです。

【シオさん】
確かに独特の打感ですね。シャフトの影響もあるかもしれません。私はカーボンシャフトで打ちましたが、50グラムだからといって決して柔らかすぎることはありません。軽量スチールを使っている私でも「軽・硬」という印象でした。スピードは出るけど、暴れれない。ドライバーのヘッドスピードが40m/s以下でスチールシャフトが重いというゴルファーにオススメです。

【コウタロウ】
純正のスチールシャフトもすごく振りやすい。切り返し以降は手元からシャフトがスムーズにしなっていくので加速感もありつつ、スチールシャフト特有のしっかり感もあります。ある程度のベテランゴルファーで、最近ヘッドスピードが落ちてきたシニア世代にもハマりそうです。決してハードなスチールシャフトではなくて、高い球が打ちやすいお助け感もあります。

安定したスピン量を持たせるために、8番~PWはスコアラインを深くしている(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
フェース素材が違う9番アイアンはどうでしたか?

【シオさん】
正直に言うと、打感の違いはほとんど感じませんでしたが、7番アイアンは飛んで、9番アイアンは高さが出ましたね。

【コウタロウ】
9番アイアンはロフトが39度あるので、しっかりスピンが入ります。

【ミタさん】
スピンに関してはロフトだけではなく、スコアラインの違いも影響していると思います。5番から7番のスコアラインは浅めになっていますが、8番からPWはスコアラインを深くしてラフやウェットコンディションからでもスピンが落ちないようにしています。

アスリートのコウタロウは、ロングアイアンのやさしさにも太鼓判を押す(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
仕事が細かいですね。一般的な飛び系アイアンは7番アイアンのロフト角が26度や28度。でも「PC-3」は7番で30度なのに飛距離が出るというのが珍しい。正直、私のヘッドスピードだと全部を「PC-3」にすることはないけど、5番、6番を「PC-3」にするのはアリかなと思いました。

【ミタさん】
ポケットキャビティ部分に入れている振動吸収エラストマーの効果もあって、少し打感がズレても嫌な打感にならないのもアベレージゴルファーにはうれしいポイントです。

ヘッドは7I。シオさんはカーボンシャフトの「FT-50i」、コウタロウはスチールシャフトの「FS-90i」を装着したデータ

【ミタさん】
大ヒットした「TB-5フォージド」と比較すると、2ランク以上はやさしい。ダフリのミスにも強いし、高弾道で直進性が高い。平均スコア100以上のアベレージゴルファーやドライバ―でヘッドスピード40m/s未満のシニアゴルファーでも使いやすいアイアンです。ストロングロフトではないので、コウタロウが言っていた通りアスリートゴルファーでも5番・6番を1、2本入れるコンボセットは組みやすいと思います。

■ 試打したクラブのスペック

フォーティーン PC-3 アイアン

フォーティーン PC-3('24)アイアン

●番手(ロフト角):7番(30度) ●シャフト:FT50i/FS90i●硬さ:ONE FLEX/S

まとめ

見た目はシンプルだが高性能。全体的に高評価が並んだ

■ マイクラブ情報

コウタロウ:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7番(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

シオさん:タイトリスト T300 アイアン<2021年>
●番手(ロフト角):7番(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

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