伊藤沙莉『虎に翼』“身内”も驚く超高速展開のワケ ヒロインの恋を描かない異例ずくめ朝ドラの「真の狙い」

※画像はNHK『虎に翼』公式インスタグラムアカウント「asadora_ak_nhk」より

伊藤沙莉(29)主演のNHK朝ドラ『虎に翼』(月~金曜)の第8週「女冥利に尽きる?」が、5月20日から放送される。弁護士編がスタートした13日放送の第31話では、平均世帯視聴率17.1%(ビ。デオリサーチ調べ、関東地区)と番組最高を更新して好調。テンポの良さも高評価だが、さすがに展開が早いという声もある。

同ドラマは、日本初の女性弁護士で、のちに裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした、昭和の法曹界が舞台のオリジナルストーリー。特徴的なのはその展開の早さ。主人公・猪爪寅子(伊藤)の子ども時代を描かなかったこともあるが、スタートして1か月半で、早くも学生だった寅子が司法試験に受かり、弁護士事務所で働き始め、さらに結婚までしてしまった。

同局の情報番組『あさイチ』では、第29話が放送された9日、寅子が再び高等試験に挑み、筆記試験、口述試験、合格発表までが一気に描かれたため、朝ドラ受けしたMCの博多大吉が、ドラマが始まって、まだ1か月ちょいだと指摘。鈴木奈穂子アナも「すごい展開早い、ここまで。どうなってくるんでしょうね」と驚いていた。

早いのは物語の展開だけでなく、エピソードも同様だ。寅子が想いを寄せる花岡(岩田剛典/35)が、裁判官として佐賀に赴任したと思ったらすぐに婚約者を連れて帰ってきて、寅子の恋のエピソードは、ちゃんとフラれることもなく終わってしまった。ヒロインの恋愛を描かない朝ドラというのも、そうはないこと。この早足展開には、どんな狙いがあるのか?

「本作のテーマは、社会における女性の問題。それをじっくりと描くための早足ではないでしょうか。このペースでいくと、6月には戦争が終わり、寅子は家庭裁判所を発足させ、裁判官になります。ここから先が寅子の物語の本丸で、そこを描きたいがためだと思われます」(ドラマライター/ヤマカワ)

■恋愛よりも大事なものがある

モデルの三淵さんは戦後、東京家庭裁判所判事となり、その後、新潟家庭裁判所長に任命され、女性として初の家庭裁判所長になる。そこがメインということなのだろうか。

「おそらく、今後の物語は女性と家族の問題を中心にして、家庭裁判所を舞台に描かれるはずです。もちろん、これまでも寅子を軸に、さまざまな女性・家族問題が描かれてきましたが、中盤以降は寅子自身がその問題に取り組む流れになるはず。そのためには、寅子の恋愛はちょっとしたエピソードに過ぎなかった。岩田が好演していただけに、あっという間の退場は惜しいですが」(前同のドラマライター/ヤマカワ)

令和の時代にもつながる女性問題を正面から描いたことで、画期的な朝ドラと言われている本作。中盤以降は、それがよりパワーアップしそうだ。

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