最下位転落の中日に求められる我慢 専門家が疑問視した“ビシエドの起用法”

中日・立浪和義監督【写真:矢口亨】

6回のチャンスで代打・大島が勝ち越しの右前適時打を放つ

■中日 3ー2 DeNA(19日・横浜)

中日は19日に行われたDeNA戦(横浜)に3-2で勝利し連敗を4でストップした。同一カード3連敗は免れたが、ここまで9カード連続勝ち越しがない状況が続いている。野球評論家の新井宏昌氏は「チームの軸となる選手をもう少し我慢強く起用できれば」と、固定できない打線を指摘した。

相手のミスを逃さなかった。中日は1点を追う4回に無死一、三塁から板山が放った一ゴロが野戦となり同点に追いつくと、6回は2死一、二塁から代打・大島の右前適時打で勝ち越しに成功した。先発の柳は5回6安打1失点の粘投を見せると、リリーフ陣が反撃を許さず白星を掴んだ。

苦しみながらも連敗を止めた中日に新井氏は「村松や若い選手たちの活躍は目立ってきた。ただ、主軸の中田がいない状況で色々と打線を組み替えながら我慢の時が続いている。今後も投手の踏ん張りが鍵を握ってくるでしょう」と、最下位に沈むチームの現状を口にする。

この日のスタメンは石川昂、ビシエドがベンチスタートで3番に福永、5番に板山が抜擢された。2人は立浪監督の起用に応える形でともに1安打を放ったが、新井氏は「選手の状態や相性もあると思いますが、長打を警戒するのは細川だけでいい。相手からすれば怖さは感じないのではないでしょうか」と指摘した。

中田の代役として期待され1軍昇格を果たしたビシエドは前日まで打率.333もスタメン落ち

負傷した中田に替わり1軍昇格したビシエドは、前日(18日)こそ無安打に終わったが、ここまで打率.333の成績を残していた。将来の4番候補として期待される石川昂も、2試合無安打ながら打率.271、1本塁打6打点。得点圏打率.400と勝負強い打撃を見せている。

「たとえ結果が出なくても石川、ビシエドが入ることでバッテリーの神経の使い方は変わってくる。特に石川は中心打者として育てるには試合に使い続けることが必要だと感じます。若い時の巨人・岡本和がいい例で、年間を通じて試合に出ることが一番の自信になる」

この日は6連戦最後の日曜日ということもあり「休養日とは考えづらい」と新井氏。実際に石川昂、ビシエドは試合終盤に代打で出場していた。

開幕直後はフレッシュな投手陣の活躍もあり一時は単独首位に浮上したが、4月下旬から5月に入り疲れの見え始めた先発、リリーフ陣が打ち込まれると一気に最下位に転落。それでも、セ・リーグは混戦模様なだけに浮上のチャンスは十分にあると見ている。

「長いシーズンを考えると軸となる中心選手を育てることも必要。中田が復帰した時にどのような起用法になるのかも注目したい」と新井氏。一気に流れが変わる可能性のある交流戦まで残り5試合。首位・阪神まで5ゲーム差の“混セ”になんとか食らいつきたいところだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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