大建工業、空調設備工事会社を子会社化

空調設備工事会社の「清田工業」を子会社化した。これにより、非住宅向け冷暖房システム「ユカリラ」の販売において、空調の設計から工事までを含めた材工提案が可能となる。

大建工業は、空調設備工事会社の「清田工業」(東京都中央区、清田久也社長)と株式譲渡契約を締結、3月26日付で同社株式の80%を取得し、子会社化した。

大建工業は長期ビジョン「GP25」の中で非住宅分野の強化を図っている。この一環として、空間の快適性を向上する技術開発に着手し、2018年から非住宅向けの冷暖房システム「ユカリラ」の提案を行っている。

「ユカリラ」は、温度が高いところから低いところへ熱が移動する現象である「ふく射」や熱の対流を利用した冷暖房システムだ。エアコンの暖気・冷気を床下に送ることで、室内の気流感を抑えながら床表面を暖めたり冷やしたりできる。こうして床の温度を変化させることで、ふく射や対流の効果によって空間全体を自然とムラがない快適な温度にできるというわけだ。特に、最近では体育館での需要が高まっているという。体育館は避難所などとしても利用されるため、快適な空調設備が欠かせない。

しかし、これまで大建工業では「ユカリラ」を販売する際の提案が部材と床工事までにとどまっていた。そのため、さらなる事業拡大を図るためには、「ユカリラ」のシステム全体を責任施工できる空調工事の体制整備が不可欠と考えていた。

「ユカリラ」の仕組み。体育館は避難所などとして活用されることも多く、近年は体育館向けの「ユカリラYGSシステム」の需要が伸長している

そこで今回、空調工事大手の高砂熱学工業の子会社であり、空調設備全般の高い工事能力を有する清田工業の子会社化を決めた。清田工業は、1946年創業の老舗企業。オフィスビルや病院といった非住宅建築の空調・冷暖房設備などの施工で多くの工事実績を持つ。同社を子会社化したことで、「ユカリラ」の販売において、空調の設計・工事を含めたトータルでの材工提案が可能になった。

コンフォート事業部の柴崎茂之 事業統轄部長は、「良い製品も正しい施工が出来ていなければ本来の性能を発揮できない。『ユカリラ』を販売するメーカーとしては、施工品質までしっかりと担保できるものを顧客に届ける義務がある」と話す。子会社化によって材工提案が可能になったことで、モノ売りからコト売りへと提案の幅が広がった「ユカリラ」の販売にさらに注力し、27年度に40億円の売上を目指す方針だ。

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