アクシデント乗り越え収穫と課題 松山英樹は後輩・久常涼を褒める

久常涼と同組で回った松山英樹はメジャーを35位で終えた(撮影/田辺安啓(JJ))

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(19日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

運命のいたずらか、メジャー最終日は松山英樹と久常涼が同組でのプレーになった。今季から久常がPGAツアーに参戦して練習ラウンドを一緒に回る機会は多くなったが、試合では初めてのこと。スタート前に多少のやり取りはあったものの、ティイングエリアでグローブをはめてからは、2人とも完全にゾーンに入った。いい緊張感でスタートしていった。

2番で松山がボギー先行。4番で久常が2mのバーディチャンスにつけてギャラリーから拍手を浴びると、続けてセカンドを打った松山がその内側、ピンそば1mに絡めて大歓声が起きる。先輩の意地を見せるかのようにバーディを奪い、序盤はまさにマッチプレーの様相を呈していた。

その後、久常が5番から3連続バーディを決める一方で松山のバーディは7番(パー5)のみ。どこか流れに乗り切れず、後半もリズムを作れない。10番(パー5)を獲っても、ティショットを右に曲げた12番ですぐにスコアを落としてしまう。左に曲げた15番ではラフを渡り歩いてダブルボギーを喫した。最終18番(パー5)のバーディで何とか「71」のパープレーにまとめ、通算8アンダー35位でメジャーの4日間を終えた。

ホールアウト後には「いつもと同じようにやっているつもりですけどね。やりづらさはありましたよね。今までなかったことなんで」と話し、日本人選手と回ったことでどこか力が入ってしまったことを認めた。12番のボギーも15番のダブルボギーも、トラブルからスコアを落とした形。しぶとくパーを拾う、いつもの“松山らしさ”がなかったように映った。

苦しみながらパープレー「71」にまとめた(撮影/田辺安啓(JJ))

とはいえ、この日4アンダー「67」と伸ばしたかわいい後輩を褒めることも忘れない。「初めて試合で回りましたが、いい選手ですよね。なんであれで予選落ちるんだろうって不思議に思いました」。カットライン付近での戦いも多い久常の成績に首をかしげながら「飛びますし、アイアンも真っすぐ行くし、アプローチもそこそこ寄る。パターも入るしね」。試合で18ホールを回ったからこそ、そのうまさを肌で感じたのだろう。

自らは約1カ月ぶりの試合で、背中の痛みに加えて発熱もあり、大変な4日間だった。「パターは今日の後半に良くなったので、このままやっていいのかちょっと分かんないですけど、でもひとまず良かったです。ティショットはまだうまくいってない感じなので、そこの修正はやっぱり必要ですね」と振り返った。

次戦は3週後、2014年に初優勝を飾った「ザ・メモリアルトーナメント」(オハイオ州ミュアフィールドビレッジGC)を予定。その翌週にはメジャー第3戦「全米オープン」(ノースカロライナ州パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2)が控える。収穫と課題を携え、松山は前を見据えて歩き出した。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)

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