「こども食堂」地域の飲食店も力に 新たな取り組み、県内でも クーポン利用で「好きな時に」

「ドコデモこども食堂」に取り組むNPO法人「子育て応援おおきな木」の木村由美子理事長(左)と戸上雄太郎さん=1日、益城町

 支援や見守りを必要とする家庭が、地域の飲食店で必要な時に無料で食事できる「ドコデモこども食堂」が熊本県内でも広がり始めた。一般的な子ども食堂と比べて、時間や場所の制約が少ないのが特徴。子どもを地域で見守る新たな取り組みとして注目されている。

 子どもの支援に取り組む一般社団法人「明日へのチカラ」(大阪市)が、2023年2月に始めた。全国各地の支援団体と連携し、22都道府県52団体(5月10日現在)に広がっている。

 利用対象は各団体ごとに支援が必要と認めた上限20世帯で、店舗は5店まで。1世帯あたり毎月3千円のクーポンをスマートフォンの専用アプリに配布する。利用者は店舗で電子決済で支払い、後日、運営側が店舗に入金する仕組みだ。食事代や運営費は企業や個人の寄付で賄う。

 県内では、益城町のNPO法人「子育て応援おおきな木」が窓口となり、ことし2月に始めた。対象はひとり親家庭を中心に8世帯。提携店として、熊本市東区や益城町のカフェ、担々麺屋など比較的小規模な4店舗を選定している。菊池市でも別の支援団体が準備を進めている。

 「おおきな木」理事の戸上雄太郎さん(36)は「困っている家庭へピンポイントに支援を届けられると思い、参加した。地域に根差した店を受け入れ先に選んでおり、子どもの様子を気にかけてもらっている」と説明する。支援団体、店舗とも金銭的負担や新たな設備導入の必要がなく、取りかかりやすい点もメリットに挙げる。

 一般的な子ども食堂は月数回や不定期開催のケースが多く、利用者の都合が合わない場合がある。長女(3)と「ドコデモ-」を利用する益城町の女性(38)は「最近は物価高もあって、なかなか外食できないので大変ありがたい。好きな時に行けて子どもが喜ぶし、私も良い気分転換になる」と歓迎。予算の範囲内で、料理を選べるのも魅力という。

 支援する家庭はNPOが面談して決めている。戸上さんは「こども食堂を通して各家庭の状況に目を配り、必要なサポートにつなげたい」と話している。(河北英之)

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