偶然の不調がなかったら…休井美郷さん子宮頸がん一歩手前での手術を振り返る

休井美郷さん(C)日刊ゲンダイ

【独白 愉快な“病人”たち】

休井美郷さん(タレント/33歳)
=子宮頚部の高度異形成

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「子宮頚部の高度異形成」がわかったのは、去年のゴールデンウイーク直前でした。異形成は、子宮頚がんになる手前の病変で、放っておけばがんになる可能性が高い状態のことです。軽度、中等度、高度と段階がある中、高度異形成はもっともがんに近く、一歩手前だったと知りました。

始まりは、とあるレディースクリニックからの仕事依頼でした。「若い女性たちに婦人科検診の大切さを伝えることで、早期発見を促したい」という趣旨で、私が実際に婦人科検診をする様子や感想などを動画で紹介してほしいという内容でした。最初に依頼が来たときは、とても意義のあることだと思いましたが、マンモグラフィーが痛いイメージを持っていて、やっぱり怖くてお断りしたんです。ところが、仕事を辞退した数週間後に口内炎がぶわっと出来たり、不正出血があったのです。それが気になって、「もしもまだお受けできるなら……」とお願いをして検査を受けたという経緯です。

このとき口内炎や不正出血がなかったら、今でも検診に行っていなかったと思うので、がんに進行していただろうと思います。でも、結果的に口内炎も不正出血も病気とはまったく関係なかったんです(笑)。そもそも高度異形成の段階で症状は出ないそうなので、偶然の不調。本当に救われました。

それまで、病気らしい病気はしてきませんでした。体が強くて発熱もめったにない健康優良児。検査をしても何も引っかからないだろうと勝手に思っていたので、後日、自宅に届いた結果を見てビックリしました。

「診断結果はD判定。すぐに病院で再受診をしてください」という内容でした。初めは驚きだけでしたが、どんな病気かネットで調べるうちにじわじわと恐ろしくなっていきました。

ゴールデンウイーク直前だったので、急いで受診できそうな病院に電話をしまくり、翌日受診。連休明けに結果を聞きに行くと、子宮頚部の高度異形成であることが判明しました。実際に写真を見せてもらったら、ピンク色の中に真っ白い部分があり、それが異形成になっているところであると説明を受けました。

治療は、手術でその部分を切り取るか、レーザーで焼くかの2択でした。

私は再発のリスクを考えて切除するつもりでいたのですが、先生から「今32歳で、この先、出産を望んでいるのであれば、切除すると早産のリスクが高くなる」と聞き、今回はレーザーの方を選びました。

公表するとたくさんの反響があった

手術前にはウイルスの型を調べる検査がありました。子宮頚がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因で起こるがんです。でもHPVには100種類以上の型があって、感染しても自然治癒するものもあれば、がんになりやすいタイプもあるのです。

その型を調べて、結果待ちをしていたので、手術を受けたのは昨年6月12日でした。手術は日帰り。全身麻酔で手術自体は30分ほどで終わったと聞いています。目覚めるとズキズキしましたが、帰りには付き添いで来てくれていた母親と焼き肉を食べて帰りました(笑)。

経過は順調そのもの。今は3カ月に1回、細胞を採る検査を受けて経過観察中です。

ユーチューブで病気を公表すると、それまでにないくらいたくさんの反響がありました。世の中には、こんなに子宮頚がんに悩んでいる女性がいるんだと初めて知りました。長年の友達も「じつは私も子宮頚がんで10年間病院に通っているの」と打ち明けてくれて、改めて身近な病気であることもわかりました。

私の場合は、仕事柄いろいろな人の声や情報が入ってきやすいのですが、そうでなければ一人で抱え込みやすい病気なので、つらいと思います。「そういう思いをする人を一人でも減らしたい」と考えるようになりました。ユーチューブではもちろん、会う人会う人に「定期検診行ってね」と言いまくっています。症状が出てからではかなり進行しているといわれているので、自分は大丈夫と思わず定期的な検診をしてほしい。なんなら年に1回、定期検診を受けなくてはいけない制度があってもいいと個人的には思っているくらいです。

病気から学んだことは、自分のライフプランを考えて生活すること。以前は自己啓発本などに「ライフプランを立てましょう」などと書いてあっても、将来のことは漠然としていてピンとこなかったんです。でも病気後は、何歳になったらこれをする、何歳ではこうしていよう……といったビジョンが明確になりました。それに、できることややりたいことはガマンしないようになりました。今は海外旅行がマイブームといったところです。

あとは、両親にできるだけ何かしてあげたいと思っています。病気がわかったときは私より母の方がめいってしまっていたので本当に申し訳なくて……。逆に今、私は親の体が心配で、「人間ドックに行ってね」と予約を取りました。それにしても、何で人間ドックってあんなに高額なんですかね? 若い人のお給料じゃそうそう行けない値段ですよ。そういうことも気になるようになりました。

(聞き手=松永詠美子)

▽休井美郷(きゅうい・みさと)1991年、大阪府生まれ。パン教室の講師を務めていた2021年、Amazon Prime Video「バチェラー・ジャパン」シーズン4に参加。“あざとい系女子”として話題になり、今やファンの8~9割を女性が占める。自身のユーチューブチャンネル「きゅうちゃんねる」で病気を公表し、定期検診の重要性についての啓蒙活動も行っている。

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