結成19年目ガクテンソク “シルバーコレクター”を乗り越えた「THE SECOND」優勝の勝負手

ガクテンソクのよじょう(左)と奥田修二(ガクテンソク奥田修二のインスタグラムから)

結成16年以上の漫才師ナンバーワントーナメント「THE SECOND」(フジテレビ系)が18日に行われ、ガクテンソク(よじょう=42・奥田修二=42)が、2代目王者に輝いた。

対決は東京&大阪での選考会を勝ち抜いた8組の漫才師による“ノックアウト形式。ネタ時間は6分。採点は会場に集まった100人の一般視聴者による1人持ち点3の集計で行われる。他の賞レースのように、お笑いの大御所などの審査員は存在しない。

ガクテンソクは、1回戦でラフ次元(255点対288点)、準決勝で金属バット(273点対283点)を破り、決勝ではザ・パンチに大差(243点対294点)をつけて大会史上最高得点で優勝した。ネタは、それぞれ「国分寺」「プロポーズ」「誕生日のサプライズ」だった。

ガクテンソクは中学校の同級生だった2人が、2005年に結成で現在は19年目。「M-1グランプリ」では、05、15、16、20年の準決勝進出が最高位だった。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう話す。

「若手の頃から安定した実力を持っていて、業界内ではよく知られた存在だったのですが、『M-1』では一度も決勝に進めませんでした。今回は、1本目に披露した自信作の国分寺のネタで観客の心をつかんだのが勝因です。2本目以降は自分たちの空気をつくった状態で堂々と漫才を演じることができていましたね。21年に学天即から現在の名前に改名し、昨年上京したばかりの彼らにとって、今回、タイトルを取れたことは強い追い風になるでしょう」

その経歴には、「ytv漫才新人賞」「ABCお笑いグランプリ」などでの「準優勝」の文字が目立つ。“シルバーコレクター”が、ついに頂点を手にした。

優勝後の会見では、一時は解散の話もあり、奥田は「漫才で何者かになれたときに辞めようぜ」とよじょうに話していたことを明かした。

■改名と上京で弾み

昨年の第1回大会で、“アンバサダー”として出演した松本人志(60)に代わり、“ハイパーゼネラルマネジャー”として出演したくりぃむしちゅーの有田哲平(53)は「今日の出演者は全員面白いし、負けた人の中でも面白い人はめっちゃいる。その中での優勝ですから、とんでもない面白い人たちですよ」と2人を称えた。

ゲスト出演者は審査をしないことも関係してか、対戦の合間の有田や博多華丸・大吉のコメントも肩の力が抜け、ベテランの漫才を純粋に楽しんでいるように見えた。さらに、出番待ちをする芸人同士も楽屋で和気あいあいとしているようだ。

「出場者に対して優しい芸人ファーストの大会だという印象があります。今年は有田さん、大吉さん、華丸さんが加わり、温かみのあるコメントで良い空気をつくっていました。ベテラン漫才師の熟練の技をじっくり楽しめる大会として、今後も長く続いてほしいと思います」(遠田氏)

これからも漫才を継続することを宣言したガクテンソクの露出は今後増えることは確実。文字通り、実力がありながらテレビ的な知名度に欠けるベテラン漫才師に、もう一度チャンスを与える意義深い大会だった。

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