【J2「我慢」】首位・清水、横浜FCとの「矛盾対決」で黒星 MF乾復帰も横浜のロングボール&圧力戦略に屈する(1)

清水はMF乾貴士(右)を後半途中に投入、6試合ぶりの出場となったが…  撮影/原壮史

■7連勝中の首位・清水エスパルスは4位・横浜FCに先制を許す

「超攻撃的」が、沈黙した。

J2リーグ第16節が5月18、19日に開催され、18日、首位の清水エスパルスは4位の横浜FCのホームに乗り込んだ。

清水はここまでリーグ最多の31得点を記録している。一方の横浜FCは、20チーム中唯一のひとケタ失点(9)だ。上位対決はリーグ屈指の「矛」と「盾」の対決でもある。

秋葉忠宏監督が指揮する清水は、前節に続いて4-4-2でスタートした。スタメンの入れ替えも右サイドバックのみで、DF吉田豊からDF原輝綺へ変更された。

アウェイゲームでも攻撃的な姿勢を貫く清水だが、この日は序盤からリズムに乗れない。横浜FCがロングボールを使い、そのたびに後退を強いられたのがその一因だ。14分には右CKから決定的なシーンを作られた。横浜FCは総得点の半数以上をセットプレーから記録しており、清水も十分に警戒していたはずだが、17分に失点してしまうのだ。相手の右ショートコーナーで目線をズラされると、CBガブリエウを大外でフリーにしてしまう。デザインしてきたであろうパターンで、ヘディングシュートを喫したのだった。

清水はその後もロングボールに苦しむ。ロングボールの出し手にプレッシャーがかからず、背後を狙ってくる相手選手もつかまえきれない。セットプレーから横浜FCのゴールへ迫ることはできたが、オープンプレーからは得点機を作れないまま前半を終えた。

■MF乾貴士が6試合にぶりに出場するが…

追いかける清水は、前半途中からシステムを変更していた。4-4-2で左MFだった矢島慎也を右サイドへスライドさせ、3-4-2-1に変えていた。ハーフタイムを挟んで前への推進力が高まり、ペナルティエリア内まで持ち込む回数が増えていく。51分には左CKからカルリーニョス・ジュニオがヘディングシュートを放つが、相手GKにセーブされる。

54分には2枚替えをする。カルリーニョス・ジュニオと矢島を下げ、MF乾貴士とDF北爪健吾を送り出す。乾は4月13日のいわきFC戦以来6試合ぶりの出場だ。

ここまでリーグ最少失点の横浜FCは、守備時は5バックでブロックをしく。足元から足元へのパスが多い清水の攻撃は、守備側の目線をズラす意味ではやや物足りない。それでも、クオリティを持った「個」が目の前の相手を剥がし、守備ブロックをこじ開けることで、試合の流れを強引に引き寄せることができるのが清水だ。

秋葉監督は65分にMF松崎快を送り出し、75分にはMF西澤健太とFWドウグラス・タンキを起用する。75分の2枚替えで再び4-4-2とし、乾がボランチのポジションから攻撃時に前へ出ていく。

ボールを握っているのは清水だ。横浜FC陣内での攻防が続く。しかし、決定的なシーンを作れない。横浜FCの守備を崩せないまま時間が過ぎ、後半アディショナルタイムに追加点を奪われる。0対2で終了のホイッスルを聞いたのだった。無得点ゲームは9試合ぶりだ。

試合後の秋葉監督は「横浜FCさんの背後への圧力、前からの圧力、何が何でも今日は勝つんだという気迫に気圧されたところがありました。そのなかでもやり切る、そのなかでもパワーを持ってやれるように、またやっていきたいと思います」

同日行なわれた試合で、2位のV・ファーレン長崎は鹿児島ユナイテッドFCに3対0で快勝した。これにより、勝点差は「4」に縮まった。3位のベガルタ仙台とも勝点8差となっている。

ここで連敗をしてしまうのか。それとも、再び連勝街道を突き進むのか。監督交代後は2勝1分と負けなしの水戸ホーリーホックをホームに迎える次節、清水の真価が問われる。

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