生成AIがラウンド中の疑問に回答! 人工知能がゴルフの上達を手助けしてくれる時代がやって来た

『バーディ・トーク』はキャップやバイザーに装着して、ラウンド中にプレーヤーが口頭で状況別の打ち方や対処法を質問すると、即座に音声で答えを出してくれる(撮影:ALBA)

近ごろ何かと話題を集めている生成AI。学習したデータをもとに、文章、画像、音声、動画など、さまざまなコンテンツを生成することができるだけに、ゴルフ界でも例に漏れず話題の主役になっている。今年のマスターズでは過去の膨大なデータをAIが分析・予測し、リアルタイムでファンに情報を提供するサービスが注目を集めた。

そんな中、生成AIを活用したゴルフグッズの開発が進行している。外国語の音を拾って通訳したりテキストを翻訳する『ポケトーク』や、録音と文字起こしを同時に行う『オートメモ』でおなじみのソースネクストが、対話型AIデバイス『バーディ・トーク』を8月下旬に発売する予定だ。
 
これは左足下がりの打ち方などラウンド中に生じた技術的な疑問や、ボールがカート道にあるときの処置など状況に応じた対処法を、音声で教えてくれる。
 
実際の例を挙げると、左足下がりのショットで何に気をつければいいのかを聞くと「左足下がりのライでは、ボールをやや右に置いてコンパクトに打ち、ボールを上げずに低く打ち出すことを心がけましょう」というアドバイスが返ってくるというもの。
 
今、生成AIで問題視されているのが、ハルシネーション(実際にはトレーニングしていない情報を「幻聴・幻視」して、信頼できない出力や誤解を招く出力を生成してしまうこと)だが、問題の解決に同社の開発担当者は手応えを感じている。
 
「われわれにはポケトークやオートメモなどの商品開発で得た知見があります。ユーザーの質問に対して適切な答えが出るためのチューニングをやっていて、かなり良いところまできています」
 
同社によれば、すでに社内ではわずか半年で100を切ったスタッフまで出現しているという。
 
「弊社の開発担当者の1人は、ゴルフを始めたのが半年前。いわゆる超初心者だったんです。このプロジェクトでゴルフを学び出して、さまざまな場面でどう打ったらいいかというアドバイスを作っていたところ、半年で100を切りました」
 
試合ではルール上使うことはできないが、メリットがもうひとつ。
 
「バーディ・トークにはユーザーのショットを蓄積して記録するという機能があります。その人が各クラブ何ヤード飛ぶのか、どういう傾向があるのか、というデータは使えば使うほど蓄積されていきます。自分が狙ったより右に行ったのか、左に行ったのか、狙い通りだったのか。これらを評価できることは、新しい機能提供になると思います」(半年で100切り達成の開発担当者)
 
また、『バーディ・トーク』がゴルフ人口の減少に歯止めをかける可能性もある。
 
「最近、社内で話しているのは、ゴルフを始めて1年以内にやめる人が非常に多いこと。お金がかかることもありますが、上達が難しいことも大きな問題です。状況に応じての打ち方の学びを手助けできることで、1年以内にやめる人を減らせればという思いもあります」(同社の関係者)
 
今後、『バーディ・トーク』のようなAIデバイスがゴルフ界を大きく変えることになるかもしれない。(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)
 
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