久常涼は松山英樹とのラウンドに感激 「自分にはないもの」…違いを感じた部分は?

21歳にとって最終日の経験はとても大きなものになった(撮影:GettyImages)

<全米プロゴルフ選手権 最終日◇19日◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609ヤード・パー71>

憧れの選手と、メジャーという大舞台で同じ組でプレーした経験は今後の財産になる。久常涼は最終日に「67」を出し、トータル11アンダー・18位タイまで順位を上げた。この日は松山英樹との2人一組のラウンド。「松山さんは世界トップの選手。このツアーでずっとプレーしている選手と回れるのは、自分にとって大きかったです」。好スコアを上回るよろこびを抱きながらの18ホールだった。

前日の夜。松山から来た「(最終日)一緒だね」というLINEで、組み合わせを知った。その時から「すごく楽しみ」と胸も躍る。同じ大会に出場する時には、練習ラウンドなどをともにするが、試合で一緒に回るのは初めて。それがメジャーとあれば、なおさらだ。「ショートゲームの技術や、そつなくオーケーなパーに寄せてくるところはすご。簡単にボギーを打たないですし、そこが自分にはないもの。これから技を盗めたらいいな」。21歳にとって、その一挙手一投足が学びになる。

この日「67」を記録した久常に対し、松山は「71」。だがそんな一日については「自分のスコアが良かったのはパターが入っただけ。内容的には全く及ばない。もっともっと近づけるように頑張りたい」と振り返る。

その松山は、久常のプレーについて「いい選手。なんであれで予選落ちするのかなと不思議に思っていました」など、褒めたたえた。そのことを耳にした久常は、「(背中痛で)万全の状態じゃなくても、この順位にずっといられるのはすごい。ゴルフの組み立て方が全く違いました。その違いを再認識できた。すごく勉強になった一日でした」と話し、謙遜する。

昨年、欧州ツアーで優勝を果たし、今季から米国を主戦場に戦う。ポイント配分が大きいメジャーでの活躍は、シード入りを後押しするものでもある。ただウェットなコースコンディションが「自分にはだいぶ有利に働いた」とスコアメイクを助た感覚も残る。「気を引き締めて。自信にはつながってはないし、また1から」と襟を正すつもりだ。

およそ1カ月後の6月17日には、今夏のパリ五輪日本代表入りをかけたレースが締め切りを迎える。全米プロの結果、代表入りの基になる世界ランクは85位に浮上。日本勢3番手という位置づけは変わらないが、現在、日本2番手と圏内にいる世界82位の中島啓太との差も縮まった。日本代表枠は2名になることがほぼ確実な状況とあって、1番手の松山に次ぐ位置になんとしても上がりたい。

「オリンピックまでの期間も少ない。もっといい結果を残さないと。出られればラッキーだと思って目の前の試合に集中したいですね。もちろん出たいです」。翌週にはすぐにテキサス州で行われる「チャールズ・シュワブチャレンジ」が待ち、さらに「RBCカナディアン・オープン」に出場。そして全米オープン予選会も待ち構える。メジャーで得た収穫を、勝負の1カ月間で惜しみなく発揮したい。

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