イラン大統領と外相が死亡、ヘリ墜落で 周辺諸国が弔意

Parisa Hafezi Yomna Ehab

[ドバイ 20日 ロイター] - イランのライシ大統領(63)とアブドラヒアン外相が搭乗していたヘリコプターが19日、アゼルバイジャンとの国境近くの山岳地帯に墜落し、両氏とも死亡した。イラン国営メディアが20日に伝えた。

吹雪の中、夜を徹して捜索した結果、20日未明に炎上して燃え尽きた残骸が発見された。

政府高官がロイターに明らかにしたところによると、搭乗者全員が死亡。マンスーリ副大統領もその後、声明でライシ氏の死亡を確認した。

モハンマド・モフベル第1副大統領が大統領に就任する見通し。

国営テレビは墜落原因に触れていない。現場の映像は山頂に激突したことを示していると伝えた。

国営通信IRNAによると、ライシ氏が搭乗していたのは米国製ヘリ「ベル212」。

ライシ氏は、アゼルバイジャンとの共同プロジェクトであるダムの開所式に出席するため国境地域を訪れていた。

インド、イラク、パキスタン、欧州連合(EU)、ロシアなど周辺諸国は哀悼の意を表明。

イランが支援するイスラム組織ハマス、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、イエメンの親イラン武装組織フーシ派もライシ氏を称え、弔意を表した。

米ホワイトハウスはバイデン大統領が事故の報告を受けたと発表した。欧州連合(EU)は衛星マッピング技術を提供。中国は深刻な懸念を表明した。

<ハメネイ師の後継者とされた強硬派>

イランは核開発計画やウクライナでの戦争を続けるロシアとの軍事関係深化を巡り、国際社会から圧力に直面している。また、昨年10月にハマスがイスラエルを急襲し、パレスチナ自治区ガザへの攻撃が始まって以来、中東全域でイランに近い組織が絡む戦闘も続いている。

ライシ氏は2021年に大統領に選出され、道徳関連法の強化を命じ、反政府デモを暴力的に弾圧したほか、主要国との核協議で強硬な姿勢を示してきた。

イラン最高指導者のハメネイ師は先に、国政に混乱は生じないと述べた。

ライシ氏は85歳になるハメネイ師の後継者の有力候補と見なされ、ハメネイ師もライシ氏の主要政策を支持していた。現実主義的だったロウハニ前大統領の体制とは異なり、現在はあらゆる権力部門が強硬派の支配下にある。

ただ、宗教指導者による統治への抗議と西側の制裁を受けるイラン経済の立て直し失敗で、ライシ氏の立場は揺らいでいるとの見方も出ていた。

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