相場展望5月20日号 米国株: NYダウは好決算と利下げ観測が強まり4万ドル突破 日本株: 株式相場の需給は弱い展開が続く可能性がある

■I.米国株式市場 ●1.NYダウの推移 1)5/16、NYダウ▲38ドル安、39,869 2)5/17、NYダウ+134ドル高、40,003ドル

●2.米国株:NYダウは好決算と利下げ観測で4万ドル突破 1)NYダウは好決算と利下げ観測で4万ドル突破 ・米経済が大幅な景気悪化を避けられるとの見方から、株高が加速。

2)NYダウはさらなる上昇を示唆しているが、チャート的には注目の位置にある ・NYダウはチャートでは「ダブルトップ」を形成、今後の動向に注目。 ダブルトップの状況 3/28 5/17 NYダウ 39,807ドル 40,003

3)米主要株価指数 ・ 主要指数の推移 最高値 5/15 5/16 5/17 NYダウ 3/28 39,807ドル 39,908 39,869 40,003 S&P500 3/28 5,254 5,308 5,297 5,303 半導体株 3/07 5,165 5,045 5,017 4,983

・牽引役であった半導体株指数(SOX)が市場最高値を超えていないことが総強気になりにくい点である。

●3.FRBのボウマン理事が根強いインフレに懸念(日経新聞より抜粋 1)「今年はインフレの鈍化についてまだ一段の進展がみられない」と述べた。そのうえで、今後の経済指標で物価高が鈍化する流れが停滞していることがわかれば、「将来の会合で政策金利を引上げることをいとわない」と話した。

●4.グローバル株ファンドに資金流入、米利下げ期待受け=週間データ(ロイター) 1)LSEGのデータによると、5/15までの1週間でグローバル株式ファンドに約102.7億ドルが流入し、3週連続で買い越しとなった。前週は125.4億ドルの流入だった。

2)米労働市場の軟化の兆候や、インフレ率の鈍化を示す統計指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの観測が強まったことが追い風となり、グローバル株式ファンドの需要が増えた。

●5.米4月鉱工業生産、4月製造業は▲0.3%低下、市場予想は+0.1%を下回る(ロイターより抜粋 1)高金利が製造業や住宅建設など資本集約型の部門に重くのしかかっている。 2)4~6月期の経済成長率は年率+2%以下にとどまる可能性が高い。

●6.「マグニフィセント7」を売却、資産家ドラッケンミラー氏らが利益確定(ブルームバーグ) 1)マグニフィセント7とは、アルファベット、アップル、テスラ、マイクロソフト、アマゾン、メタ、エヌビディアで構成され、昨年10月下旬からの11兆ドルに相当する米株価上昇に貢献してきた。

●7.米金利維持が物価目標達成につながる=クリーブランド連銀総裁(ロイター) 1)+2%の物価目標達成には従来の想定よりも時間がかかると今は考えている。

●8.インフレ率、FRBが望む水準に達せず=リッチモンド連銀総裁(ロイター) 1)インフレ低下には、時間がかかると指摘。

●9.米4月輸入物価指数、前月比+0.9%上昇、約2年ぶり大幅な伸び(ロイター) 1)市場予想は+0.3%上昇だった。前月3月の輸入物価指数は+0.6%上昇。 2)エネルギー製品などの価格上昇を背景に大幅に伸び、米国のインフレ率がしばらく高止まりする可能性を示唆した。

●10.米ウォルマートの2~4月期は増収増益で、見通しを上方修正、株価最高値(ロイター) ■II.中国株式市場 ●1.上海総合指数の推移 1)5/16、上海総合+2高、3,122 2)5/17、上海総合+31高、3,154

●2.中国の複数都市が公共料金値上げで、家計は打撃(ロイター) 1)中国の10都市以上に広がる公共料金値上げの広がりは、超低水準のインフレ率を押し上げる。 ・将来的には家計の購買力をさらに低下を招き、デフレ圧力となる可能性。 ・高速鉄道4路線で、6/15から最大20%値上げ。 ・広州・上海などで水道料金を前年比+10~+50%値上げ。 ガス料金を+5%~+20%値上げ。

2)地方政府が過去数年間、補助金で公共料金を人為的に低く抑えてきた。しかし、地方政府が補助金支払に十分な収入を確保できないため、公共料金引上げに追い込まれている。将来的には、公共料金はさらに引上げられると予想。

●3.中国経済指標、鉱工業生産が予想以上に加速、小売売上高は減速(ロイター) 1)鉱工業生産は前年比+6.7%増、3月の+4.5%増から加速。小売は+2.3%増と、3月の+3.1%増からは減速。

2)外需は強く、内需が弱い内需の低迷は、明らかに不動産セクターの悪化によるもの。

■III.日本株式市場 ●1.日経平均の推移 1)5/16、日経平均+534円高、38,920円 2)5/17、日経平均▲132円安、38,787円

●2.日本株 : 株式相場の需給が弱い展開が続く可能性がある 1)日経平均は、3/22高値から大幅下落したが、自律反発の範囲での戻り ・日経平均の推移 高値 3/22 40,888円 安値 4/19 37,068 : 高値から▲3,820円・▲9.3%下落 現在 5/17 38,787 : 安値から+1,719円・+45%の戻り率 ・NYダウの5/17の史上最高値更新と比べ、日経は物足りない戻り幅となっている。

・日経平均はNYダウに比べ、「割高感」⇒「やや割高感」に変わってきた。

2)5/16、日経平均は大幅上昇も、他の株価指数は逆行安や小幅上昇と「まちまち」 ・日本株価指数の前日比伸び率 日経平均 +1.39% TOPIX +0.24 グロース250 ▲1.31 JPX日経400 +0.59 東証プライム +0.24 東証スタンダード▲0.62 東証グロース ▲1.43 ・また、新高値数は48に対して新安値数は150と、地合いは不良。

3)5/14~16は日経平均上昇も、値下がり銘柄数が値上がり数を超え、不透明感強まる ・値上がり・値下がり数の動き 5/14 5/15 5/16 5/17 値上がり銘柄数 746 482 607 999 値下がり銘柄数 874 1,140 994 592 日経平均値動き +176円高 +29円高 +534円高 ▲134円安 ・なお、5/17の新高値数は64・新安値数は97と地合いの悪化を示している。

4)デフレに逆戻りとなるリスクが濃くなる ・要因 ・企業の値上げラッシュ ・賃上げが物価上昇に追い付かない ・実質賃金は過去最長となる24ヵ月連続のマイナス ・政府は6月から1人当たり4万円の定額減税を始めるが、値上げに追い付かず ・イオン、東武ストアなどは消費の弱さから、昨年後半から値下げを始めている

5)日本株の需給は弱い状態が続く可能性 ・年初から最大の買い筋だった証券自己が、4月1週から売り越しに転じた。 ・一方、最大の売り筋だった年金基金が4月4週(~4/26)から打診買いに転じた。 ・ただ、証券自己の買い残高は5/10現在でまだ2兆円弱が解消できていない。 証券自己の買い残高の推移 3/29 +4兆1,132億円 ⇒ 5/10 +1兆8,701億円 ピークの買い残高に対し、解消率は55%と、まだ売り圧力が残る。 ・株式の需給は弱い状態が続く可能性がある ・短期保有の証券自己、海外投資家の買い一巡と株式の需給は弱い。 ・個人の買い(現金・信用合計)は、株価に影響を与えるポジションでない。 ・年金基金は打診買いにとどまっており、次の買い主力にはなりえない。

●3.日本1~3月実質GDPは年率▲2.0%、マイナスは2期ぶり、個人消費など減少(NHK) ●4.信越化学、発行済み株式の1.1%・上限1,000億円で自社株買い(ロイター) ●5.三菱UFJ、発行済み株式の0.68%・上限1,000億円で自社株買い(ロイター) 1)2024年3月通期、純利益は前年比+33.5%増の1兆4,907億円 2025年3月通期見通し、純利益は1兆5,000億円

●6.出光、発行済み株式の6.5%・上限700億円で自社株買い(ロイター) ●7.農林中金、1兆円規模の増資検討、米金利高で外債の含み損▲5,000億円(読売新聞) ●8.キオクシア、2024年3月通期、純損失▲2,437億円(日経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします) ・4384 ラクスル 業績堅調 ・6289 技研製作所 業績好調 ・8113 ユニ・チャーム 業績堅調

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