中東情勢の緊迫や日経平均株価の下落…リスクが懸念されるなかメガバンクで1位を獲得したファンドは?

日経平均株価を対象にしたインデックスファンドが人気

大手銀行では、4月も日経平均株価を対象にしたインデックスファンドの人気が高かった。4月の日経平均株価は1963円78銭(4.9%)下落し、2022年9月以来1年7カ月ぶりの大幅な下げを記録した。この下落は4カ月ぶりである。下落の主な要因は、米国の利下げ期待が後退したことによる米長期金利の上昇で、これにより世界的な株高の勢いが弱まった。そして、東京株式市場でも、幅広い銘柄に利益確定の売りがでたのである。

加えて、中東情勢の緊迫化も投資家心理を冷やす要因となった。イランがイスラエルにミサイル攻撃を行ったことで、地政学的リスクが高まったからである。これらの要因が重なり、4月の日経平均株価は大きく下落した。米国の金融政策の行方や中東情勢の動向が、今後の株式市場に大きな影響を与えると予想される。

ただ、日経平均株価に連動するインデックスファンドは、株価が下落する局面で買いが増える傾向にある。大手銀行でも、下落局面で買いを入れた顧客が多かったと考えられる。

みずほ銀行のランキング1位は「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」

みずほ銀行のランキング1位は、「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」だった。同ファンドは、世界の株式、債券、リート(不動産投資信託)、金などのコモディティに分散投資することで、信託財産の成長と利子・配当等収益の確保を目指すファンドで、主な特徴は、以下の通り。

1. 様々な資産クラスに機動的に分散投資することで、リスクを抑えつつ安定的なリターンの獲得を狙う。
2. 市場環境に応じて資産配分を柔軟に変更する。例えば不透明感が高まる局面では、債券比率を引き下げ、金や現金等の比率を高めるなどの対応をする。
3. 同じ資産クラス内でも、地域やパフォーマンス特性の異なる投資対象に細かく分散する。
4. 円資産(円建て、円ヘッジ外貨建て資産)の組み入れにより、円ベースでの値動きの安定性を重視する。
5. 外貨建て資産については、状況に応じて為替ヘッジを行うことがある。

リスク分散の基本として、多くの人が耳にするのが「分散投資」である。ピクテは1830年頃から、欧州の様々な企業の株式や債券への国際分散投資を始め、その後も投資対象を拡張してきた。この長年の経験を通じて、教科書的な知識だけでなく、実践的な見識を深めている。市場環境に応じて機動的に資産配分を変更しながら、世界中の魅力的な投資対象に分散投資するファンドといえるだろう。

■ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド
基準価額 1万990円
信託報酬 1.3915%(年率・税込)
純資産残高 190億円

<騰落率>
1カ月 3.20%
3カ月 6.40%
6カ月 11.32%

※3月末時点

りそな銀行のランキング5位は「りそな米国株式配当貴族インデックス(年1回決算型)」

りそな銀行のランキング5位は、「りそな米国株式配当貴族インデックス(年1回決算型)」だった。同ファンドは、S&P500配当貴族指数(配当込み、円換算ベース)の動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドで、主な特徴は以下の通りである。

1. 米国の優良企業の中でも、25年以上連続で増配している企業で構成される「S&P500配当貴族指数」に連動することを目指す。
2. 配当利回りが相対的に高い銘柄に投資することで、安定的な配当収入の確保が期待できる。
3. 年1回(原則として8月15日。休業日の場合は翌営業日)決算を行い、収益分配方針に基づき分配金を支払う。

米国の優良企業に投資し、配当収入の獲得と株価上昇による資産形成を目指す長期投資に適したファンドといえる。ただし、株式市場や為替の変動による影響を受けるため、元本割れのリスクがあることに注意が必要である。

■りそな米国株式配当貴族インデックス(年1回決算型)
基準価額 1万1710円
信託報酬 0.55%(年率・税込)
純資産残高 18.2億円

<騰落率>
1カ月 -0.4%
3カ月 8.4%
6カ月 21.1%

※4月末時点

山下 耕太郎/金融ライター/証券外務員1種

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011

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