浦和“ヘグモ流”進化へのポイントは中島翔哉? 指揮官が熱弁「構造を作ることが大事」

浦和のペア・マティアス・ヘグモ監督【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

トレーニング後に定例のオンライン会見を実施

浦和レッズのペア・マティアス・ヘグモ監督は5月20日のトレーニング後に定例のオンライン会見を行い、チーム作りの流れについて熱弁を振るった。指揮官は「構造がしっかりすれば、そのうえで選手たちの創造性が生まれてくる」と話した。

ヘグモ監督は今季に向け就任すると、4-3-3システムの導入を明言して沖縄県でのトレーニングキャンプをスタート。当初はその言葉のとおり、基本的に選手たちはポジションを守ることが求められた。トレーニングマッチなどではそれがハマって両ウイングの破壊力を感じさせることもあったが、選手たちには「どこまでポジションを動かしてプレーしていいのか」という戸惑いの声もあった。

そうしたなかで開幕すると、それがハマる試合もあれば相手に抑え込まれる試合もあり安定しなかった。1つの契機は4月20日のガンバ大阪戦でFW中島翔哉を左ウイングとしてスタートポジションにする起用をしたこと。自由にポジションを動かしていく中島に合わせた連動性も生まれ、リーグ戦のここ4試合は3勝1分で10得点を挙げている。さまざまなポジションの選手に迷いなくプレーする姿も見られ、ヘグモ監督が当初から求めていると話し続けてきたインサイドハーフの選手によるゴールも増えてきた。

この流れについてヘグモ監督は「自由度と創造性という言葉があるが、それは同義なのかどうか。まずはしっかりした構造を作ることが大事だ。その構造がしっかりすれば、そのうえで選手たちの創造性が生まれてくるし、関係性も出てくる。構造ができる前に自由を与えすぎるとカオスになってしまう」と話す。

さらにヘグモ監督は現役時代に接した監督など多くの人から学んだとして、「私は指導者として常にピッチ上だけでなく組織としてスタッフの構造も大事にしてきた。それを作っておけば、そのうえで創造性が発展すると信じている。創造的になるためには構造が必要だという研究もある。さまざまな分野のアーティストを世界中で見れば、活躍する人は構造を大事にしてハードワークする人が多い」と、サッカー以外の部分でも通じる考え方だと話した。

「常にオプションを2つ、3つ作れば相手にとって非常にやりづらい」

19日のジュビロ磐田戦は1-1の引き分けに終わったが、課題としてシュート場面での判断力を挙げて「何度か昨日の試合でもシュートブロックをされる場面があった。なぜそうなるのか。シュートを選択する判断が早すぎるのではないかという話をした。状況を読んで選択しないといけない。シュートブロックをされている時は、2人か3人が寄せてきている。そのような時はほかの選手がフリーになっているもの」とした。

開幕当初は個々の仕掛けに頼っていた感のあった攻撃だが、コンビネーションを見せる場面が増えてきた。ヘグモ監督は「常にオプションを2つ、3つ作れば相手にとって非常にやりづらいだろう。関係性が深まれば、周りを探すのではなくここで走っていると分かったうえでプレーができる」と、阿吽の呼吸が芽生えてきていることを指摘している。

先日の記者会見では戦術的ピリオダイゼーションにも言及していたヘグモ監督だが、段階的なチーム作りには手応えを得ているようだ。個々の能力が高い選手が多く所属するのは間違いなく、シーズンの後半に向けどこまで完成度が高まっていくのか注目される。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

© 株式会社Creative2