パナソニック エナジー、米国の大型EVトラックにリチウムイオン電池を供給開始 同社製車載用リチウムイオン電池の商用車搭載は世界初

by 編集部:椿山和雄

2024年5月20日 発表

パナソニック エナジーは5月20日、ヘキサゴンプルス(Hexagon Purus ASA)と米国日野(日野モータースセールス U.S.A.)によって米国で販売されるクラス8の大型EVトラック向けに、同社のリチウムイオン電池の供給を開始したと発表した。パナソニック エナジーの車載用リチウムイオン電池が商用車に搭載されるのは世界で初めてとしている。

パナソニック エナジーの車載用リチウムイオン電池が搭載される大型EVトラック「RC8」は、米国日野の XL 4x2 シャーシをベースに、バッテリーシステムおよび車両インテグレーションの技術を持つヘキサゴンプルスの最先端ゼロエミッション技術を採用。ゼロエミッショントラック専用の「Tern」ブランドとして展開される。

パナソニック エナジーでは、2023年4月にヘキサゴンプルスと車載用リチウムイオン電池を供給する契約を締結。大型EVトラック「RC8」に搭載されるリチウムイオン電池は、パナソニック エナジーの日本国内工場から供給を開始し、2026年以降は米国カンザス州で現在建設中の新工場から供給する予定。

米国では商用トラックの電動化への需要が急増し、調査会社 P&S Intelligence が公開した調査によると、米国におけるEVトラックの市場規模は2030年までに約151億米ドルに達し、2023年と比較して年平均成長率54%で推移する見込み。

こうした背景として、米国カリフォルニア州で導入されたアドバンスト・クリーン・トラック(ACT)基準においては、2024年に同州で販売されるすべてのクラス7および8トラックの新車の5%をゼロエミッション車(ZEV)とすることが求められるほか、ACT基準は、2040年におけるトラックメーカーの販売台数の100%をZEVとすることを義務付けており、カリフォルニア州とその他7つの州でも採用されているという。

車載電池技術をゼロエミッションの商用車へ展開することについて、パナソニック エナジー社長執行役員の只信一生氏は「バッテリーシステムの分野でトップクラスの技術を有するヘキサゴンプルスと、米国日野が展開する商用車に、当社のリチウムイオン電池が搭載されることを誇りに思います。今後更なる成長が見込まれるEV商用車市場への参入は、パナソニック エナジーの事業成長においても非常に重要なマイルストーンです。当社は電池開発・製造の技術と豊富な経験を活かしリチウムイオン電池業界の成長を牽引するとともに、ミッションである『幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現』を目指します」とコメントしている。

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