【J2「我慢」】仙台、監督交代・栃木の20歳FWの強烈ゴラッソを許すも逆転勝利 すべて1点差勝ち4連勝に森山監督「ギリギリの戦い」(2)

しぶとく4連勝を決めた仙台・森山佳郎監督  撮影/中地拓也

■ベガルタ仙台は監督交代の栃木SCのホームに乗り込み

前節の経験を生かした。

J2リーグ第16節が5月18、19日に行なわれ、19日、前節まで3位のベガルタ仙台は19位の栃木SCと対戦した。18日開催の試合で勝利した横浜FCが暫定3位に浮上しており、仙台は試合前の段階で5位となっている。

J3降格圏に沈む栃木は、田中誠監督と柳下正明ヘッドコーチとの契約を解除し、小林伸二監督の就任を15日に発表した。仙台は前節のザスパ群馬に続いて、新監督の就任初戦で対戦することになる。

栃木はこれまでと同じ3バックを採用してきたが、3-4-1-2ではなく3-2-4-1に立ち位置を変えてきた。仙台からすれば相手の出かたを探る時間が必要だが、開始早々の9分に先制される。1トップの矢野貴章へロングボールを入れられ、矢野がヘディングで真上にはね上げたボールをCBがクリアしたものの、そのボールを、ガンバ大阪から育成型期限付き移籍している20歳FW南野遥海にペナルティエリア外から蹴り込まれてしまった。コース、スピードともに文句なしのゴラッソだった。

ディフェンスの組織を崩されたわけではないものの、仙台は9試合勝利のない栃木に先制されてしまった。相手を勢いに乗せないためにも、早く同点に持っていきたい。果たして16分、右CKからPKを獲得する。ゾーンディフェンスをしく栃木に対して、FW中島元彦がニアサイドでグラウンダーのボールをフリックし、相手守備陣の対応を難しくする。この流れでペナルティエリア内で反則を誘い、中島がPKを一度は止められたが、跳ね返りをしっかりと決めて1対1の同点とした。

■セットプレー2連発で逆転に成功!

同点に追いついた仙台は、守備時は5-2-3になる相手のシステムに徐々に対応していく。MF郷家友太やボランチ松井蓮之が両ボランチの脇のスペースを意図的に使うことで、栃木の2シャドーやウイングバックに守備を意識させる。それによって、前へ出ていく勢いを相手から削ぐ。さらには左MF相良竜之介が質的優位を発揮していく。相手のGKのビッグセーブにあいながらも得点機をうかがうと、59分にもまたもセットプレーからネットを揺らす。ニアサイドに立った中島が、ヘディングで巧みにコースを変えたのだった。中島の前に立っていた松井が相手をひきつけたことで、中島がスペースを見つけることができたのだった。

2対1で推移する時間帯では、スライドが間に合わずに際どいシュートを浴びる場面もあった。3点目を取るべき場面もあったが、追加点を奪えない。終盤は栃木がCBを前線にあげてパワープレーをしかけてきたが、仙台は2対1のまま逃げ切る。監督交代直後の難しい相手との一戦で、前節につづいてしぶとく勝点3をつかんだ。

仙台はJ1で戦っていた19年6月以来5シーズンぶりの4連勝を達成した。しかも、そのすべてが1点差ゲームである。粘り強く勝点を稼いでいる。試合後の森山監督は「4連勝とはいえど、すべてギリギリの戦い」と話し、次節以降の対戦相手を見据えて「また我慢しながらやっていこうと思います」と話した。

ホームに戻る17節は6位のファジアーノ岡山、17節は7位のいわきFC、18節は9位ヴァンフォーレ甲府、20節は2位のV・ファーレン長崎と、現時点で勝点の近い相手との対戦が続く。前半戦の終盤に訪れた上位対決を、仙台はいかに乗り切るのか。5月から6月の戦いが、仙台にとって大きな意味を持つ。

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