越谷アルファーズで充実の1年を過ごした井上宗一郎「本当に幸せなシーズン」

「最初は調子が上がらなかったし、いろいろ苦戦したこともあって。最後もこうやって苦戦した部分が多かったですけど、昨シーズンに比べたら得るものが何倍も、何十倍も違います。B2優勝はできませんでしたけど、目標の一つであるB1昇格を達成することができました。選手の人生はまだまだこれからですが、プロ2シーズン目にしてはいい経験をさせていただいたと思っています」

5月19日、滋賀ダイハツアリーナにて行われた「日本生命 B.LEAGUE B2 PLAYOFFS 2023-24」ファイナル第2戦で滋賀レイクスに敗れたあと、越谷アルファーズの井上宗一郎は移籍初年度をこう振り返った。

特別指定選手として、福岡大学附属大濠高校時代にライジングゼファー福岡、筑波大学時代に三遠ネオフェニックスでそれぞれプレーした井上は、2021年12月にプロ契約でサンロッカーズ渋谷へ加入。ルーキーイヤーの2022-23シーズンはベンチ外も経験し、42試合の出場で1試合平均5分51秒のプレータイムに終わった。シーズン終了後、契約満了でSR渋谷を退団。新天地を求め、活躍の場を越谷に移した。

越谷を率いる安齋竜三ヘッドコーチいわく「来た時は正直、基礎が全くないなと。けど、3ポイントは入る。でもそれ以外は何やるの?みたいな感じの選手」だったという。それでも努力を重ね、レギュラーシーズンは50試合に出場し、同14分42秒で5.5得点2.1リバウンドを記録。プレーオフでは昇格を決めたアルティーリ千葉戦を含む全6試合に出場すると、7.7得点3.2リバウンドに3ポイント成功率52.4パーセントをマークした。

滋賀との第2戦では4本の3ポイントで12得点を記録 [写真]=B.LEAGUE

滋賀との第2戦でもパワーフォワードとして出場し、ライアン・クリーナー、ブロック・モータム、ジャスティン・バーレルといったビッグマンとマッチアップ。「今日もすごく戦っていましたし、すごく成長したと思います」という指揮官の言葉とは反対に、井上は「僕のところで最後にやられてしまって。こういう結果になったので、本当に自分のせいだと思っています」と反省の弁を述べた。

前所属チームでは、多くのプレータイムを得ることも、試合の勝敗を分ける場面でコートに立つこともなかった。舞台は異なるとはいえ、プレーできる喜びを感じているようだ。

「シュートを決めても、決めなくても試合に出ること自体が本当に楽しくて。そのなかで学べることもあって、自分はバスケットボールが好きなので、好きなことで仕事させていただいている。そこに関しては本当に幸せなシーズンだったと思います」

安齋HCは井上の性格面に触れ、さらなる成長へ期待を寄せた。

「宗一郎は明るさがある。いい時とダメな時があって、ダメな時でも『あっ、すみません』みたいな感じで、『でも次頑張ります』みたいな。そのポジティブさがいいなと。まだまだ伸びるし、伸びなきゃいけない。(それは)日本代表のためにも、宗一郎本人のためにも。もっともっとやれると思います。やりきればもっともっと良くなると思うし、B1でも全然通用すると思います。少し休んでから、準備を始めてほしいですね」

「この経験を糧にして、次につなげていこうと思います」。25歳になったばかりの男が、越谷で成長の第一歩を踏み出した。

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