薄っぺらい記事|なべやかん遺産 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「薄っぺらい記事」!

身銭を使って資料を買え!

当時の少年誌は怪獣達が掲載されていた。

ネットニュースなどに昭和の怪獣映画や特撮ヒーロー(巨大ヒーローや等身大ヒーロー)に関した評論などが記事として上がっている事がある。AIが過去に閲覧した記事を把握し興味がありそうなものを選んでくれているので目にする事が多いのだが、記事を読んでいると若いライターが書いているのだろうなーって思う事がしばしばだ。

資料を読み漁ったり、足を運んでイベントに行ったり、特撮仲間と情報交換したりしていない、あきらかにウキペディアやネット検索して関連記事を読み見ながら書いているのだろうって感じてしまう。

幅広い層に昭和特撮の素晴らしさを知ってもらえたり興味を持ってもらう事は嬉しいのだが、あまりにも薄っぺらい文章に「こんなのだったら俺(なべやかん)に書かせてくれたら良いのに」って思ってしまう。

ネットに繋げれば様々に情報が載っている。それを見て書けばある程度の事は書けるのだが、これに対してもの申したい。特撮作品なんかに興味が無く編集部から「書け」と指示されお金の為に仕方なく書いたライターは仕方が無いが、興味があるとか好きだから書いたっていう人はちゃんと身銭を使って資料を買ってそれから書け。

資料本として売られている多くの本の資料提供は自分が貸し出している場合もあるし、貴重な資料の大半はコレクター界の師匠・西村祐次さんが貸し出ししている事が多い。

自ら足を使って調べる事も、自ら身銭を切って資料を買う事の大切さ、何故そこに気付かないのだろう?俺も西村さんも全部は貸してないし、伝えてない事も多々ある。

我々が資料を買ったり保管するのにどれだけ時間と労力とお金を使っているかを知っているのか?

それを理解せず、ただで借りようとしたり低予算で借りようとする人が多い。

少額でも払おうとするならまだしも、ただで借りようとする人は本当に困る。そんな気持ちで本を作ったりネット記事を書いたりイベント展示されてもな~。

だから我々は全てを教えないし、全てを貸し出ししてないのだよ。そんな裏事情を知らずにネットに出ている情報だけで記事を書いているのが多いから薄っぺらいと言っているのだ。もっともっと金や足を使って情報を手に入れろよ。

「俺が経済を回しているのだ!」と言えちゃうくらい金を使わないと。(笑) そのくらい金を使って資料を集めてみろって。でも、現実問題、そうならないのもわかっている。
総理がXで『「賃金が上がることが当たり前」という経済に移行する』と書いている。

総理、末端世界では本やイベントをやる時にまっとうな金額をお支払い出来ないのが現状ですよ!

そういった事も是非知って欲しいし庶民の声にちゃんと耳を傾けて欲しいです。毛細血管に血が回って初めて経済が良くなったと言ってもらいたいと願っております。

日本経済の悪循環

昔のまんがは様々な情報が拾える。

資料を買う事も大切だが作品を何度も観る事も大切だ。サブスクで観るのも良いがDVD、Blu-ray、4KultraHDなどもちゃんと手に入れて見比べて研究して欲しい。

これも資料を買う事だし、お金を使う事になる。今は手軽に映像が観られるが、昔は足を運ばないと映画を観る事が出来なかった。最初の映画公開、リバイバル、イベント、これらに行く事が大事だった。

現地に行くと必ず誰かに会うしそこに特撮仲間が集まっていた。特撮仲間には現在第一線で活躍している人達が多い。映画監督、専門誌を作っている編集の人、特撮ライター、特撮マニア&コレクター、業界人等がそこに必ずいた。

だからそういった場所も情報が手に入る場所になるのだ。現地に行くって事は交通費もかかるし入場料もかかる。つまりお金を使うって事。人に会い情報交換する事もお金を使う事と同じくらい重要な事で、ネットでググって手に入れる情報とは違う。

金も時間も掛けないで書かれた記事の薄っぺらさがわかるでしょ?

情報を持っている人に会って会話する事で得られる情報ってあるのだから。そして、様々な資料を買う事によって新たな発見もあるので、資料を買わない人やタダで借りようとしている人には得られない事があるのだ。

でも、そう言っても現在の日本の経済状況を考えると仕方がないって思ってしまう。編集部も予算が無いからお金かけられないので安価なライターに記事を書かせるしかない。ライターは安価なギャラで高価な資料を買えないのでネットでググって調べるしかない。悪循環だよね~。

「予算が無くて」が挨拶のように

怪獣映画台本。台本は究極の資料。でも集めるのが大変。

専門誌を作る時、展示イベントをやる時、特別な企画をやる時、これらも同じで「予算が無くて」が「こんにちは」「おはようございます」「お疲れ様です」と同様の挨拶的な言葉になっている。

こんな状況がずーっと続いているのが庶民の常識。そういった事も理解していないのに『「賃金が上がることが当たり前」という経済に移行する』なんて言葉を軽く言わないで欲しい。

これから年間約4万円上がる税金に庶民はアップアップしているし、毛細血管では資料にお金を使えない状況も起きているのだから。と、経済に対し文句を言ってしまうが、ケチな奴もいるし適当にしかやらない人やいるし作品に愛のない人も多いのも事実。皆さん、薄っぺらな記事を読んだらサムズアップとは逆のボタンを押してやりましょう。

そうやって彼等に気が付かせないといけない時代になっているのかもしれない。いちいち面倒臭いね~。アナログ時代の方が色んな面で良かった事も多かったって最近思うよ。

もちろん経済も。皆でしっかりしよう。特に「俺達が日本を動かしている」って言っている人達、しっかり頼むよ。

あなたたちが率先して現金を使ってくれ。ケチらず身銭を切ってくれ。えらそうな顔や態度をして使ったお金の領収書を会社名で貰ったりしないでくれ。

ケチ野郎や身銭切れない奴が日本の経済を回せるわけがないのだから。そういった事も総理は理解して大企業のお偉いさんの話だけ聞かないように。中小企業の社長さん達の方が、気持ちよくお金使うし、自分で自由にお金を使えるのだから。薄っぺらいっていやだな~。

映像は最大の資料。資料は所有すべき。

なべやかん

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