【雇用保険】加入対象者の拡大法案が成立。対象者や手取り額への影響は?

雇用保険の加入対象者を拡大する法案が、5月10日に成立しました。

新たに雇用保険に加入した場合、手取り額にどう影響するのか気になる人もいるでしょう。

この記事では、雇用保険の現行制度と新たな拡大要件について解説します。

雇用保険の現行制度と新制度

雇用保険は、労働者が退職や失業をした場合、再就職や生活の支援を目的とした社会保険です。

加入要件を満たす人であれば、雇用保険に加入する必要があります。

また、パートやアルバイトといった雇用形態にかかわらず加入が必要です。

雇用保険の現行制度

現行制度では、以下の労働条件に当てはまる場合に加入します。

  • 1週間の所定労働条件が20時間以上あること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

雇用見込みが31日以上ある人の具体例は、以下のいずれかに該当する場合です。

  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が31日以上である場合
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合

(※当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。)
出典:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」

雇用保険に加入すると、失業時や育児休業時に、以下の給付が受けられるメリットがあります。

  • 失業時の給付:求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付
  • 育児休業時の給付:育児休業給付金

雇用保険の新制度

新制度では、1週間の労働時間を「10時間以上」働く人にまで拡大します。

  • 旧:1週間の所定労働条件が20時間以上あること
  • 新:1週間の所定労働条件が10時間以上あること

新制度は、2028年10月から適用される予定です。

雇用保険料が発生すると手取り額はいくら?

雇用保険に加入すると保険料はどのくらいかかり、手取り額はどうなるのでしょうか。

雇用保険に加入する場合の保険料率は、適用事業所によって異なります。

事業の種類は、以下の3つです。

  • 一般の事業
  • 農林水産・清酒製造の事業
  • 建設の事業

雇用保険は、労働者と事業主がそれぞれ負担します。

労働者が負担する保険料率は、下図の通りです。

出典:厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」

「一般の事業」で雇用されている場合、雇用保険料率は総支給額の15.5%で、うち労働者負担は0.6%です。

一般事業所の場合、総支給額ごとの雇用保険料(労働者負担)は以下の通りです。

  • 総支給額5万円:300円
  • 総支給額10万円:600円
  • 総支給額15万円:900円

なお、「農林水産・清酒製造」「建設」の事業は、一般の事業に比べて保険料率が高くなります。

雇用保険に加入しても、手取り額が大きく減るほどの負担にはならないといえるでしょう。

新制度によって、新たに約500万人が加入対象者となる見込みです。

現時点で雇用保険に加入していない人は、加入対象となるか前もって確認しておきましょう。

出典

  • 厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
  • 厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」

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