Q. 春の眠気が強くて困っています。気持ちの問題でしょうか?【医師が回答】

春眠いのは、気合が足りないせいでも、気持ちの問題でもありません。なぜ春になると強い眠気やだるさにおそわれるのか、対策法も含めて、わかりやすく解説します。

Q. 春になると眠くてたまりません。気持ちの問題でしょうか?

Q. 「毎年、春になると強い眠気におそわれて困っています。暖かくなるから、気持ちがたるむのでしょうか? やる気の問題でしょうか? 春の眠気をなくす方法があれば、教えてください」

A. 春の眠気は、体の中でさまざまな変化が起こるせいです。うまく対処しましょう

春に眠くなるのは、科学的にもある自然なことです。「ポカポカと暖かく心地よいから」だけではなく、実はいくつもの原因が関係しています。以下で春の眠気の原因を挙げてみましょう。

快眠しやすい心地よい気温になるため

まず最初は、「暖かくなる」から。冬は寒さで眠りの質が落ちていたという人も、寝室の温度が15~20℃ほどの適温になるため、気持ちよく眠れるようになります。

冬よりも総睡眠時間が短くなり、一時的に睡眠不足の状態になるため

実は人間の睡眠の長さは季節によって変わります。ある調査によると、冬よりも夏の方が、就床時刻と起床時刻が早まり、総睡眠時間は短くなると報告されています。 睡眠時間が短くなる過程で、睡眠不足のような状態になり、朝や日中に眠気が強くなることがあります。

メラトニンの分泌量や体温低下のピークの時間帯が変わるため

「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンは、冬から夏にかけて、分泌量のピークが早い時間帯に移動していきます。睡眠に影響を与える体温も、同じように、一日の中で最も低くなる時刻が早まります。 自律神経も、冬は交感神経が活発ですが、暖かくなるにつれて、副交感神経が優位になっていきます。 以上のように、冬から春にかけて体の中ではさまざまな変化が起こるので、春には強い眠気やだるさを感じやすくなるのです。 科学的にも、春の眠気は仕方のないこととも言えます。眠気をなくすことは難しいので、 ・目が覚めたら、カーテンを開け、太陽の光で体内時計をリセットする ・適度にコーヒーやお茶などでカフェインを摂る ・胃腸が目覚めるように、朝食を食べる ・日中の眠気は、軽い運動や短い昼寝で解消する などの工夫を取り入れて、眠い季節を上手に乗り切ってください。

坪田 聡プロフィール

日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。 (文:坪田 聡(医師))

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