20年ぶりシリーズ新作SFRTS『Homeworld 3』プレイレポ―現代的に強化されたグラフィック、ロード時間の短さやバグの少なさも満足度大

20年ぶりシリーズ新作SFRTS『Homeworld 3』プレイレポ―現代的に強化されたグラフィック、ロード時間の短さやバグの少なさも満足度大

ゲーマーならば自分の好きな作品の1つ2つはお持ちでしょう。10本?それとも100本単位?実際のところこの数自体に意味はありませんが、人生の中で「これだ!」といった作品に出会えた思い出は正直忘れえないものだったりします。

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そして、そうしたイチオシの作品ならずっと語り継ぎたくなるのは自然な事。作品がシリーズ化されて長く愛されるようになれば、ファンとしてこの上ない喜びなのではないでしょうか?

今回ご紹介するのはそんなシリーズファンが待ちに待ってようやく登場した作品です。ナンバリング作品にして20年ぶりの新作、目を閉じれば遥か昔若い自分が遊んでいた在りし日の光景が思い出されます。

SFRTS『Homeworld 3』は、宇宙を舞台に艦体を指揮し勝利をつかむゲームです。資源管理やユニットの生産から交戦指示など、刻一刻と変化していく戦況に合わせて艦体司令として指揮を執ることとなります。

各ユニット個別のほか船体規模に応じた生産上限が存在することから、大量生産して数で圧殺なんてアメリカンスタイルの戦術は使用不可。ユニット毎の相性を勘案しつつ、戦況に応じての生産指示が重要です。

他にも宇宙だけに3次元を活かした艦隊運用が必要となるのも本作の特徴です。前後左右だけでなく上下からの挟み撃ちは機動性に劣る大型艦には特に有効ですよ。

度重なる発売延期を乗り越えてようやく発売された本作を本稿ではお伝えしていきます。

シリーズファン納得の出来栄え、この操作感覚に艦船デザインは紛れもなく『Homeworld』だ!

さてまずはオプション画面から。グラフィック設定やサウンドなどです、いろいろ事細かく設定できるのはいかにも現代的ですね。

ちょっと変わった項目としては「体験プリセット」というものがあります。この項目では操作体系を一般的なRTS風にするか過去作と同じものにするかを選択可能。一括設定のほか特定の項目だけ異なるタイプを適用することも可能で、好みに合わせてカスタマイズができます。

キャンペーンモードではさらに難易度設定が可能で、こちらもお好みで調節が可能。母艦やユニットを無敵にしたり資源を無限にしたり、サクッとストーリーを楽しみたいなんて人には嬉しい機能ですね。逆に難易度を上げることも可能ですから、腕に覚えありな方も満足できます。

本作の主人公はヒイガラ人科学者のイモジェン・スジェット、前作のカラン・スジェットの被保護者という縁のある人物です。本作ではイモジェンはカラン同様に母艦カル=クシャーンとサイバネ接続され、唯一のナビゲーター兼艦隊司令としての重責を担うこととなります。

カル=クシャーンの任務、それは拡大を開始した異常宙域の調査と事態の収拾です。本作は前作の100年後が舞台で、カラン・スジェットの失踪と時を同じくして異常宙域が拡大を開始。本作の時代では居住惑星も甚大な被害を被る事態となっています。

これを受け軍部は何者かが「ハイパースペース・ゲート・ネットワーク」の兵器化を行ったと判断し、イモジェンが乗るカル=クシャーンに調査と解決が命ぜられたのです。

最初のステージはチュートリアルを兼ねたもので、資源採取船への指示や母艦の移動と自衛などを学ぶこととなります。艦船デザインや全体的な雰囲気などはまさしく『Homeworld』なのですが、艦表面のディテールや雲などの描写は令和に相応しい美しさとなっているのがとても印象的です。

これこれ、この特徴的なテレポートあっての『Homeworld』です。

次のステージでは母艦用の生産モジュールを保管されている「ファシリティ315」にて受領、以降任意のユニット生産が順次解禁されていきます。モジュールの搬入中には、所属不明の集団からの攻撃を受け応戦することに。

本作ではユニット自体のほか戦闘機やコルベットといった艦種ごとに展開できるユニット数の上限が存在します。その為、特定ユニットの大量生産と集中運用という手は使えず、戦況に応じた枠内での配分が重要となります。また、各ユニットが備える特殊アビリティもうまく活用すれば非常に強力です。

小惑星嵐を突破!もちろん当たると大惨事に
敵艦隊をゲートで待ち伏せ、『EVE Online』でのゲートキャンプを思い出します。

キャンペーンモードは全13ステージとボリューム面ではやや少な目。ただし、小惑星嵐の突破や敵艦隊のゲート付近での待ち伏せなどシチュエーションは多種多様で面白さという点では十分満足できます。

また、一般的な対戦モードのほかローグライク的な強化システムを有する「ウォーゲーム」モードも存在し、こちらは協力プレイが可能です。対戦モードで荒んだ心を友人との共闘で癒すというのも良いのではないでしょうか?

ナンバリング作品としては20年ぶりとなる本作、個人的にはとても満足できる作品だと思います。前作までの雰囲気を活かしつつ現代的に強化された各種グラフィックを始め、ロード時間の短さやバグの少なさなども魅力的です。

また、各種設定の細かさなどから新規プレイヤーから歴代作品のファンまでどちらも満足できる点などは非常に嬉しい“気遣い”のように感じられます。

ただ、記事執筆時点で対戦モードで選択可能な勢力が2種類、MAPが6種類という少なさは少し気になるところ。今後のアップデートでどんどんテコ入れして欲しいところです。

個人的にはシリーズファンならマストバイ、シリーズ初体験の初心者でもとっつき易い遊びやすさが一番の魅力だと思います。SF好きならぜひ本作を体験あれ、飛び交うレールガンにビームの応酬、これぞTHE・SFな光景に酔いしれること間違いなしです。

スパくんのひとこと

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