成邦商事、ホタテ輸出拡大へ高度な国際認証取得

「FSSC22000」の登録証を手にする成邦商事の笹原社長(右)、小野部長=20日、県庁

 ホタテガイ加工品の製造・販売を手がける成邦商事(青森市)が、高度な食品安全管理の国際規格「FSSC22000」認証を取得した。20日、笹原真社長と小野俊一総務部長が県庁を訪ね、宮下宗一郎知事に報告した。中国の日本産水産物禁輸措置が続く中、同社は「EU(欧州連合)や米国など海外の販路拡大につながる」と期待を寄せた。県によると、陸奥湾産ホタテ加工場でFSSC認証を取得したのは初めて。

 FSSC認証は、食品の衛生や安全に関する他の規格「HACCP」「ISO」よりも厳格な基準での管理が求められる。安全面に加えて企業の事業継続性なども評価項目となる。

 同社は農林水産省の補助を活用し、2022年暮れごろから1年以上かけて認証機関や県などから指導を受けた。工程ごとに責任者を配置して衛生管理方法を書面化する、経営体制や災害時の危機管理体制を明確に共有するなどの対応を講じ、4月19日に認証登録を受けた。同社の加工場で製造した商品はFSSC認証品となる。期間は3年間で、更新にはあらためて審査を受ける必要がある。

 同社は既にEU、米国、アジア向けにホタテ加工品を輸出しているが、海外のスーパーや外食産業では、FSSC認証品に取引を限定する事例がある。今回の認証によって販路が拡大でき、商品の付加価値向上にもつながるとしている。認証を機に、従来から取り扱っている冷凍貝柱の輸出に加えて、新たにベビーホタテ(半成貝)の輸出を視野に入れる。

 県庁で、笹原社長は「認証を取引の要件にする動きが世界的な潮流となっている。さらに身を引き締めて安全・安心な製品を国内や世界へ発信していきたい」と報告。宮下知事は「ホタテの販路拡大への大きな弾みになる。県内で先駆けて取得していただいたので、多くの加工業者が続いていけば」と話した。

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