『今日好き。プサン編』3話ーー告白前に事実上の“失恋”「諦めないけど、頑張ります」

5月6日よりABEMAにて放送中の恋愛番組『今日、好きになりました。プサン編』(以下:今日好き)。現役高校生たちが2泊3日の修学旅行に飛び出し、運命の恋を見つける同番組には、時に甘酸っぱく、思わず胸がキュンとするような青春と恋模様が溢れんばかりに詰まっている。

以下より、5月20日公開の3話から見どころを紐解いていく。細かなネタバレもあるためご注意いただきたい。

・ゆう&ひなの、意中のそうまと3人でデートに そうま自身の想いは?

先週の記事の最後に「次週の3話では、ねねの動きを中心に紹介しようと考えている」なんて記したわけだが、今週のオンエアで事態がなかなかに急変してしまったため、予定変更し、そうま(阿部創馬)に再びフォーカスを当てた内容をお届けしたい。

『プサン編』2日目は、2組に分かれてのグループ行動に。グループ分けの方法は、初日に続いて女子メンバーのみでの“花くじ”。当たりを引いた2人は、気になる男子を誘ってプサンの街を一望する展望台デートに繰り出せるという。昨日からの変更点がひとつ。前回は男女2名ずつのダブルデート形式だったが、今回は女子メンバーの指名する男子が重なってしまっても問題ないとのこと。現状を踏まえるに、お互いに“そうま被り”が発生し、彼の“両手に華”状態を予想した視聴者も少なくはないだろうが……。

もしそう予想していたのなら、見事に的中である。当たりを引いたゆう(早坂ゆう)、ひなの(瀬川陽菜乃)が、ほかメンバーに目もくれず、そうまをデート相手としてご指名。ひなのは2回連続で当たりを引く幸運ガールとして。ゆうは、初日に距離を縮めたじゅま(坂本ジェルー寿真)を選ばなかった点で、それぞれ周囲を驚かせる。

それにしても、いわゆる“ハーレム作品”顔負けの主人公気質を発揮しまくりなそうま。この後、展望台から観た絶景が、あいにくの曇り~雨模様に隠されてしまっていたのだが、景色なぞ多少悪くとも、まだ“プラス寄りのプラス”でしかない。誰もが贔屓目に見ずともかわいい女子が、自分の左右どちらにもいるわけなのだから。

……とまで書こうとしたのだが、そうま自身、どうやら浮かれ調子ではないらしい。というのも、ここまででお気づきだろうか? 彼としては、この状況はなかなかに芳しくないもの。理由は単純で、そうまが気になっているせいら(土屋惺来)、ねね(古園井寧々)の2人と離れ離れになってしまったからだ。告白はもう明日。それなのに、せいら、ねねと心の距離を縮められず、下手したら翌日を迎えてしまう。そんな不安だってあるだろう。それもこれも、モテるがゆえ。いわば“モテ税”とでも呼ぶべきか、引く手数多な男子の宿命である。

当たり前だが、好意を寄せてくれる相手の想いをコントロールすることはできない。だからこそときに、本当に気になる相手と離れ離れにならざるを得ないのだ。この後、ゆう、ひなののそれぞれと2ショットをするわけだが、実際のところ、その内容はそうまの抱える微妙な想いをそのまま辿る形となった。

・ゆう、そうまの“脈なし”は予想通り?「てるくんのことは、たぶん好きにならんと思う」

ゆうとの2ショットが始まるとすぐに、せいら、ねねの2人だけに、気持ちを徐々に絞っていると正直に明かすそうま。ゆう自身も「そうやと思ってた」と、なんとなく察しはついていたようだが、覚悟の強さはゆうの方が上だったのかもしれない。この後の心変わりの可能性を尋ねられるも「ちょっと変わらないかもしれない」と、ハッキリと言葉にする。ただ、失恋を経験した女子は、強い。ゆうもまた折れず、この2ショットはやや平行線気味に終わった。

圧倒的美女たちからモテまくっているこの状況。並大抵の男子であれば、絶対に浮き足立ち、“このなかの誰かと付き合えればいいや”などと、軟弱な答えを出してしまうのではないだろうか(もしかしたら、筆者もそのうちの一人かもしれない)。だが、そうまは今回の旅で、ほかの誰でもない運命の相手を見つけようとしている。そのためには、できるだけ自身の思考リソースを割く人数を減らすしかない。本気でカップル成立しようとしてる気概が、画面越しでもしっかりと伝わってくる。

一方の、ゆう。実はグループ行動の前、早朝のカフェにてる(川端輝)を呼び出し、先ほどのそうまがしたのと同じように、「てるくんのことは、たぶん好きにならんと思うから」と、この旅で最初の決断を伝えていた。

誰かを振る行為には、その後の未練を抱かないことが鉄則。ここまで「マジで悪い男ですよ」と、ゆうは“都合のよい男子”という言葉こそ使わずとも、この現状に自覚的で、それをたびたび口にしてきた。が、てるの誘いを受けても、ゆうは揺らがなかった。勝手ながら、前述の鉄則を踏まえるに、正解の選択肢を選んだと思う。だからこそ、この段階からそうまに脈なしを宣言されるのは、少しキツい。挽回しかない残り2日間。どうする?

・ひなの、2日目午後に事実上の失恋「諦めないけど、頑張ります」

結果だけ見れば、ひなのとの2ショットも同様。そうまは、ひなのから昨晩、徹夜で作ったという自身の名前入りビーズアクセサリーをプレゼントされるも、彼女との会話に「あ、そっか」と返すなど、どこか相槌に元気がない。まぁ、仕方がないだろう。この後に「変わらないかもしれない」と、寄せられた想いを押し返さなければならない時間が待っているのだから。

ひなのもゆうと同じく、「そうまくんが幸せなのがいちばんうれしいから。諦めないけど、頑張ります」と、まだ白旗こそ上げないまでも、この2ショット自体とても短時間で終わっているわけだし、手元の大きなドリンクがまったく減っていないあたり、たとえ映像編集でショートカットされていたとしても、会話が進んでいなかった状況が読み取れる。この時点で事実上の失恋を突きつけられるのは、言い換えればそうまの切実さの裏返し。ただ、その想いと優しさを理解した上で、実際にそれを言葉にされると……悔しい。どんなに心が強い人でも、この場面では泣いてしまうのではないだろうか。

『プサン編』1話にて、そうまのあまりの人気ぶりに“最低1組のカップル成立は間違いない”と、スタジオの“恋愛見届け人”たちが声高らかに約束してくれたが、今回の女子メンバーはほとんどが“そうま推し”。このままいくと、“最低1組”ではなく、むしろ“1組しか成立しない”状況が生まれてしまう(し、現に生まれかけていると思う)。

もちろん『今日好き』の旅の充実度は、成立カップル数とイコールとは言い難い。それでも同時に、やはり重要な指標のひとつではある。徐々に雲行きが怪しくなってきた2日目午後の恋愛模様を、たとえばひなの、ゆうあたりが別の男子を意識し始めるなどで、どうにか打開できればよいものだが。

(文=一条皓太)

© 株式会社blueprint