有村架純、8年ぶりの月9出演には期待しかない 『海のはじまり』で“希望”を与える存在に?

7月からスタートするフジテレビ系の“月9”ドラマ『海のはじまり』のヒロイン役を有村架純が務めることが決定した。有村の“月9”出演は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年/フジテレビ系、以下『いつ恋』)以来、8年ぶりとなる。

本作は、『silent』(2022年/フジテレビ系)のスタッフが再集結し、“親子の愛”をテーマに描く完全オリジナル作品。主演はSnow Manの目黒蓮が主演を務める。有村と目黒の共演は、映画『月の満ち欠け』(2022年)以来、約2年ぶりとなる。

有村が演じるのは、主人公の夏(目黒蓮)と交際中の恋人・百瀬弥生。化粧品メーカーの開発部で働く弥生は、真面目で几帳面な性格のため、周りからは“しっかり者”と思われている。夏と付き合って3年になり、なんとなくではあるが、夏との将来を真剣に考え始めていた弥生は、ある日突然、夏と、すでに亡くなってしまった元恋人との間に子どもがいたことを知る。「人はいつどのように“父”になり、いつどのように“母”となるのか」を問う本作において、弥生が何を考え、夏や子どもに、どのように向き合っていくのかは重要なポイントとなっていく。

『いつ恋』は、有村の民放連続ドラマ初主演にして、“月9”初主演作品。また、この作品のプロデューサーは、本作と同じ村瀬健で、村瀬は「ようやく、有村架純さんとご一緒することができます」とコメントを寄せている。

有村の演技の魅力のひとつは、決してハッピーな展開でなくても、“ほのかな希望”を抱かせてくれることだ。 『いつ恋』で有村が演じた杉原音は、ずっと苦難の道を歩んでいた。神戸市生まれだが、北海道で暮らしていたのは、幼いころに女手ひとつで育ててくれた母を亡くし、北海道のさびれた町で暮らす林田雅彦(柄本明)・知恵(大谷直子)夫妻に引き取られたから。その家では、知恵の介護をはじめとした家事全般をこなすが、雅彦からは酷い扱いを受けていた。曽田練(高良健吾)と出会ったことをきっかけに、逃げ出すようにやってきた東京で、音は介護福祉士として働き出すが、仕事は楽ではない。それに、職場の同僚や練のように同世代の人たちとも交流するようになり恋もするが、育ってきた環境が影響してか、相手のことを慮りすぎて、なかなか自分で自分の進む道を選べなかった。それでも音はいつもひたむきに生きており、その静かな笑顔を見ながら、「いつか、絶対に幸せになってほしい」と願ってしまうのだった。

練との恋も紆余曲折あったし、気持ちが通じ合っていても、最終的にふたりが選んだ道は一般的な“ハッピーエンド”といえるものではなかった。だけど、普段は標準語も話すのに、同郷でもない練の前では、ほぼ関西弁になってしまう音。それだけで、彼女にとって練がかけがえのない人であることは一目瞭然だった。最終回で再び北海道で暮らすことにした音に待ち受ける未来は、明るいとは言えなかったが、“思い出してきっと泣いてしまう”くらい大切な練との恋が、彼女の支えとなるのだろう。有村が演じる音の姿には、そう思わせてくれる力があった。

『海のはじまり』で有村が演じる弥生は、突然、恋人に子どもがいることを知る。愛する人とはいえ、知らなくてもいいことがあるはずなのに、弥生は恋人の過去をいきなり思い知らされるのだ。さらに、「自分の子ではないのに愛せるのか」など、実際に子どもを目の前にすることで生まれる葛藤もあるだろう。でも有村は、そんな葛藤を、少しずつ少しずつ解いて、前を向いていくような姿を演じてくれるのではないかと期待している。
(文=久保田ひかる)

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