リマスター版「モンスターハンター ストーリーズ」&PS4版「モンスターハンターストーリーズ2」プレビュー:独自性満載のバトルに「モンハン」らしさも味わえる

カプコンが2024年6月14日に発売を予定している、PS4/Nintendo Switch/Steam版「モンスターハンターストーリーズ」とPS4版「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」のプレビューをお届けする。

人気ハンティングアクション「モンスターハンター」シリーズの本格RPGタイトルとなる「モンスターハンターストーリーズ」シリーズ。2016年にニンテンドー3DS向けに「1」(Android/iOS版も2017年に発売)、2021年にNintendo Switch・PC向けに「2」が、それぞれリリースされている。

今回発売される「1」はPS4/Nintendo Switch/Steam、「2」はPS4を新たにプラットフォームに加え、「1」ではグラフィックの改善やミュージアムモードの追加なども行われている。両作共に基本的なゲーム内容はオリジナル版と同じだが、改めて両作をプレイして感じられた魅力を紹介していく。

■「ストーリーズ」独自の魅力は「1」から既に確立されていた

まずは第1目となる「モンスターハンターストーリーズ」の内容からご紹介。オリジナル版はニンテンドー3DS向けにリリースされていたのもあって、リマスターで大きく受ける印象が変わっている。オリジナルの雰囲気は残しつつも、大画面で遊べるようになったことでRPGらしい世界観の広大さ、モンスターの存在感などをよりリアルに感じられるようになった。

「ストーリーズ」シリーズは、プレイヤーはモンスターを狩る「ハンター」ではなく、モンスターたちと共存する「ライダー」となっているのがもっとも大きな特徴。リオレウスやティガレックスといったシリーズおなじみのモンスターたちと、オトモンとして共闘することができる。

モンスターは「モンスターハンター」シリーズ本編からデフォルメされ、かなりかわいらしい見た目になった。リマスターによって大きい画面で遊べるようになったことで、細かい動作にも気づきやすく、オトモンのかわいさもより実感しやすく、思い入れが強くなりやすくなったように感じた。

一方、ゲームシステムについては基本的な内容に変更はなく、オリジナル版の魅力がそのまま再現されている。

中でも面白いのがオトモン共に戦うコマンドバトル。バトルにはオトモンとライダーが参加し、基本的にプレイヤーはライダーに対する指示を行い、オトモンは自らの考えで動く。

オトモンは最大6体まで連れて歩くことができるが、同時に戦闘に参加できるのは1体まで。攻撃には、パワー、スピード、テクニックの3つの攻撃タイプがあり、パワーはテクニックに、テクニックはスピードに、スピードはパワーに強い3すくみの関係となっている。

敵モンスターとライダー、オトモンのいずれかがそれぞれを攻撃しあった場合は「真っ向勝負」と呼ばれる特殊な状態が発生し、この3すくみに基づいて、有利なタイプはダメージが増加し、逆に不利なタイプはダメージが大きく減少する。

ドスファンゴならパワー、ドスランポスならスピード、イャンクックならテクニックといったように、モンスターごとにどのタイプの攻撃を繰り出してくることが多いかの傾向が決まっているため、モンスターの攻撃属性を先読みして、どれだけ真っ向勝負に勝ちバトルを優位に進められるかがポイントになっている。

ここで面白いのが、オトモンは基本的に指示を受けず自由に動くという独特の仕様。敵の攻撃属性を読めたとしても、オトモンには直接指示を出すことができないため(スキルを使わせることは可能)、真っ向勝負に常に勝ち続けることはできない。ただ、敵のモンスターと同様にオトモンにもどのタイプの攻撃を繰り出す確立が高いか傾向が決まっているので、パワー攻撃を多用してくるモンスターを相手にする時は、スピード攻撃を得意とするオトモンに交代させることで、勝率を大幅に上げられる。

オトモンとライダーが、同一の対象に同じタイプの攻撃を行って真っ向勝負に勝利すると、より強力な一撃である「ダブルアクション」も発生し、さらに有利に戦いを進めることもできる。相手の属性にあわせた適切なオトモンと攻撃のチョイスというのが非常に重要になっている。

また、バトル中に真っ向勝負に勝利したり、オトモンの回復を行うなどの行動でオトモンとの絆ゲージがあがっていき、ゲージが最大になるとオトモンにライドして戦えるようにもなる。この状態になるとオトモンとライダーが1つのキャラとして扱われるので攻撃の手数は減るが、行動をプレイヤーがすべて指示できるので、真っ向勝負に勝てる確率が大幅に上がる。

この状態に入って真っ向勝負に勝ちまくるのは気持ちよく、「オトモンに指示を出せない」というストレス要素を、うまく爽快感に転換させられているのが本作のバトルのすごいところ。他のRPGタイトルにはない、独自の味わいのあるシステムになっている。

ライド状態で絆ゲージをさらに上げると、強力な必殺技である絆技も使える。

フィールドの探索では、各所に採取ポイントが存在し、アオキノコやハチミツといったシリーズおなじみのアイテムを採取して調合を行うことも可能。

さらにモンスターを倒して得た素材を使って装備の強化や生産を行ったり、クエストをこなして報酬を獲得していくといった、「モンハン」シリーズのおなじみのゲームサイクルが踏襲されている。ハンティングアクションとは別のジャンルながら、しっかりと「モンハン」をプレイしている感覚を味わえるのも面白いところだ。

また、フィールド内に点在するモンスターの巣からタマゴを持ち帰り、孵化させることで新たなオトモンを仲間にできる。オトモンはそれぞれ種族や個体ごとに能力値に影響する絆遺伝子に違いがあり、同じオトモンでも性能が異なる。ある程度ストーリーを進めると、オトモンの絆遺伝子を継承できるようにもなり、「火のブレスを吐くドスランポス」のような、本編ではありえない攻撃を繰り出すモンスターを作ることもできる。

フィールドではオトモンに搭乗することもでき、それぞれジャンプや壁上りなど専用のフィールドアクションを使用できる。オトモンのアクションを駆使して初めて入れるようになるエリアも大量にあり、手持ちのオトモンが増えれば増えるほど、行けるエリアが増えていくのをしっかりと実感できるのも楽しい。

こうした自分だけのオトモンを生み出したり、オトモンの力を借りて「モンハン」的な世界を冒険できるのは、「モンハン」シリーズファンにとってたまらない要素。「1」の時点でも「ストーリーズ」ならではの遊びが詰まっていたのだと、改めて実感できた。

追加された「ミュージアム」では、キャラクターのイラストや収録楽曲を楽しめる。開発担当者からのコメントも表示される。

■「2」は前作をブラッシュアップし、やや高めの年齢層にリーチした正統進化作

一方のPS4版「ストーリーズ2」は、内容としては既にリリース中のSwitch・PC版とほぼ同一。こちらはプラットフォームの関係で今までプレイする機会を逃していたプレイヤー向けの作品と言える。

「2」は、「1」と比較すると全体的にゲームのスケールがあがっており、主要キャラクターの年齢・頭身も上がり、ストーリーも「1」よりもやや高めの年齢層にマッチするように全体的な雰囲気も変わっている。「1」の相棒であるナビルーに加えて、主人公に特別な絆石を託すミステリアスな少女・エナも登場し、よりドラマチックな物語が展開される。

採取や強化、クエストといったゲームサイクルも引き継がれており、街やフィールドもよりリアリティを感じられるディティールになったことで、「モンスターハンター」シリーズ本編により近いプレイ感覚を味わえるようになった。

バトルシステムも「1」と同様、オトモンと共に戦うコマンドバトルシステムが採用されている。「真っ向勝負」「絆ゲージとライド」といった基本的な要素は引き継がれているものの、バトルから受ける印象は「1」とは結構異なり、続編らしく様々な進化を遂げている。

もっとも特徴的なのが、共闘パートナーの追加。「1」ではオトモンとライダーの2人でのパーティだったが、「2」ではストーリーの進行にあわせてNPCのライダーとオトモンが仲間として共に戦ってくれるようになった。ストーリーを進めることで仲間が増えていくという、RPGらしい楽しみが増えたのは嬉しい点だ。

また、味方の数が少ない「1」は、高い割合でライダーに攻撃が飛んでくるため、どうしても真っ向勝負で対抗する必要があり、スキルやアイテムを使う余裕があまりなかったのだが、人数が増えて攻撃が分散する機会も増えたことで、行動の幅も広がっている。

バトルの肝となる3すくみについても細かい見直しが行われており、「1」の時はどんなにモンスターの傾向を理解しても、ランダムで攻撃属性がバラつくように設定されているようで、真っ向勝負に負けることが結構あった。

「2」ではモンスターごとにしっかりとした攻撃パターンが設定されており、ライダーが狙われた場合は真っ向勝負に100%に近い確率で勝てるようになり、ランダム性のブレによるストレスが大幅に軽減されている。ただし簡単になったかというとそうではなく、真っ向勝負に勝てるかどうかよりも、真っ向勝負を仕掛けられない特殊な技や、状態による行動パターンの変化に適切に対応できるかという点に、バトルのポイントが移ったという印象だ。

また、モンスターの部位ごとに肉質が設定されるようにもなり、武器ごとに設定された撃タイプ(斬・打・突)による相性も追加され、肉質に適したタイプの武器を使って攻撃することで大きなダメージを与えられる。武器は戦闘中に切り替えられ、部位ごとに様々な武器を臨機応変に使い分けながら戦うのは、「モンスターハンター」本編にもない遊びで楽しい。

バトルだけではなく、モンスターの育成部分もより自由度が増し、とくに伝承の儀による絆遺伝子の継承は、好きな位置に遺伝子を入れられるように。序盤のオトモンでも多くのスロットが用意されているようになり、序盤から活用しやすくなった。同じ絆遺伝子を重ねてレベルを上げるというやりこみ要素も増え、とっつきやすさと遊びやすさの両方があがっている。

オンライン要素として、オトモン同士の対戦だけではなく、他のプレイヤーとの共闘クエストも用意されている。今回は発売前だったこともあり、共闘クエストを他のプレイヤーと遊ぶことはできなかったのだが、相手がいない場合でもNPCといっしょにクエストを挑戦できるので安心だ。

「1」から基本システムは引き継ぎつつも、様々な部分をブラッシュアップし、ゲームとしての体験の幅が広がった、まさに正当進化と言える作りになっているのが「2」の特徴と言えるだろう。

久しぶりに「ストーリーズ」シリーズをプレイしたが、「やっぱりモンハンはRPGでも楽しい」ということを改めて実感した。操作しない時間が生まれるコマンド式のRPGなら、モンスターのモーションをゆっくりと眺める余裕もあるし、モンスターの魅力を伝えるという意味では、コマンドRPGというジャンルはこれ以上ないほどハマっている。

「1」のリマスターとPS4版の「2」は同時発売となるが、基本的にはどちらのタイトルからプレイしても問題ない。ただし「2」には「1」のキャラクターが大勢登場するファンサービスもあり、システムとしても非常に順当なブラッシュアップが行われているので、両方をプレイするつもりがあるなら「1」→「2」の順番でプレイするのが個人的にはオススメだ。セーブデータの連動要素もあり、「2」のセーブデータがあると「1」でナビルーコーデ「マハナ村のライダー」が入手できる。

リマスターとプラットフォームの追加で、非常にプレイしやすくなった「ストーリーズ」シリーズ。とくに、今まで体験する機会を逃していた「モンハン」シリーズファンは、この機会に改めてプレイしてみてはいかがだろうか。

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