『366日』“明日香”広瀬アリスと“遥斗”眞栄田郷敦が起こした“奇跡” それぞれの恋が動き出す

人生には波があり、調子が良いときもあれば悪いときもある。恋と愛の違いは、その両方を共有したいと思えるかどうか、なのかもしれない。『366日』(フジテレビ系)第7話では、それぞれの恋愛が動き出す。

自身が勤める音楽教室で受付とクラリネット講師を兼務することになった明日香(広瀬アリス)。室長の山浦(赤ペン瀧川)からクリスマスイベントの企画担当になってみないかと打診され、大役の指名にためらいながらも引き受けるなど、以前とは比べ物にならないくらい前向きになった。

事故の影響による記憶障害を抱えながらも新しく生き直そうとしている遥斗(眞栄田郷敦)の影響もあるのだろう。その遥斗もついに退院し、妹・花音(中田青渚)の家から元の職場へ通うことに。まずは働きやすい部署で、簡単な仕事を覚えていく。明日香も遥斗に寄り添い、2人は一緒に未来を歩み始めた。

そんな中、遥斗は同僚の木嶋(岐洲匠)から自身が手がけた店「パトリア」で臨時のキッチンカーを出すことを聞き、出店の手伝いをかって出る。その日は、明日香の誕生日だったが、高校時代以降の記憶を失ったままの遥斗は当然覚えていない。

音楽教室の生徒・静原(前田公輝)の彼女で、フルート奏者の樋山(鈴木絢音)から演奏会のペアチケットをもらい、遥斗と誕生日を一緒に過ごそうと思っていた明日香。だが、遥斗も大変な時期だからと伝えるのを遠慮し、後日それを知った遥斗と気まずい雰囲気になってしまう。その時、遥斗は人から気を使われることに敏感になっていた。高次機能障害の症状で段取り良く物事を進め、同時に複数の仕事をこなすのが難しく、職場でも迷惑をかけてしまうことが多い遥斗。けれど、遥斗の事情をわかっているから誰も責めようとしなかった。それは周りの優しさではあるけど、遥斗からしてみれば線を引かれているように思えてしまうのだろう。

その後、十分に話し合えないまま、智也(坂東龍汰)に誘われて地元の花火大会に参加する明日香と遥斗。遥斗の両親が営むお好み焼き屋に集合し、仕込みを手伝っていると花音の彼氏である竜也(中沢元紀)がやってくる。ウェブデザイナーとして忙しく働きながら遥斗をサポートする花音を献身的に支える竜也。花音は「自分の面倒は自分で見る」とあえて突き放したが、竜也はめげなかった。「もう1人で全部抱えんのやめて。俺に半分持たせてほしい」とみんなの前でプロポーズする。

大切な人だから、喜びだけじゃなく悲しみも苦しみも全て分け合いたい。それは明日香も同じ。誕生日を一緒に過ごすことも大事だけど、今は何より頑張っている遥斗を応援したいのだ。だけど、明日香が自分の気持ちをおろそかにすることを遥斗は望んでいない。一緒に過ごした日々を忘れても、ずっと自分を支え続けてきてくれた明日香を遥斗は大事に思っている。そんな明日香の力に、遥斗だってなりたいのだ。だからこそ、花火大会で明日香がみんなとはぐれた時、自然と足が動いた。

誰よりも先に明日香を見つけた遥斗。足をくじいた明日香を遥斗がおぶって、2人は来年の誕生日を一緒に過ごす約束を交わす。半年前に不運にも遥斗が事故に遭い、当たり前が当たり前じゃないことを知った明日香。それが今や、一緒に花火を見上げていて、これから来る未来にも当たり前のようにお互いの姿がある。これを奇跡といわずして何というのだろう。だけど、その奇跡は決して諦めなかった2人自身が起こしたものだ。

そんな明日香と遥斗の姿が周囲にも影響を与えているように見える。前回から何者かに尾行されているような描写があった莉子(長濱ねる)。その正体は、元彼の亘(岩永丞威)だった。結婚していることを隠して莉子と付き合い、今度は妻と正式に離婚したからといってやり直しを迫る亘。そこには相手への配慮は一切なく、ただの一方的な気持ちの押し付けで愛じゃない。対して、莉子と亘の間に割って入った智也は「莉子が一生目を覚まさなかったとしても俺はずっとそばにいるよ。もし心臓が必要だって言われたら俺の心臓くれてやるよ」と宣言する。それほどまでに莉子への思いを強めたのは、遥斗のことがあったからに違いない。遥斗の意識が一生戻らない可能性を突きつけられても、目覚めることを信じて待ち続けた明日香を見てきたから、智也は莉子の大切さを実感したのだろう。思わず告白した気持ちはごまかしてしまったが、2人が付き合い始めるのも時間の問題な気がする。

2組のカップルが絆を深めていく一方で、和樹(綱啓永)と芽美(高田里穂)の関係は微妙な方向へ。花火大会の時も、実は遥斗よりも先に明日香を探しにいった和樹。おそらく高校の時から片思いしている明日香への思いを募らせていく和樹に、芽美も気づいている。和樹、そして遥斗と過去に何らかの繋がりがあると見られる看護師・紗衣(夏子)の存在が今後の物語にどんな影響を及ぼしていくのかが気になるところだ。

(文=苫とり子)

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