「ウィキリークス」創設者アサンジ被告のアメリカ移送めぐり身柄拘束中のイギリスの裁判所が追加裁判認め移送当面なくなる

イギリスに拘束されている告発サイト「ウィキリークス」創設者・アサンジ被告が、アメリカへの身柄引き渡し決定に不服を申し立てている問題で、イギリス高等法院は20日、被告が求めていた追加の裁判を認める判断を下した。

この判断を受けて、アサンジ被告は当面アメリカに移送されないことになる。

妻・ステラさんは20日に会見を行い、判断が出たあと刑務所にいるアサンジ被告と電話で話したと報告。

「アサンジ被告は安堵(あんど)していた」と述べたうえで、「今こそアメリカは起訴を取り下げるべきだ」と訴えた。

オーストラリア出身のアサンジ被告は、2010年から2011年にかけて、イラク戦争などに関する大量の機密文書を「ウィキリークス」を通じて公表。

アメリカ当局はアサンジ被告が機密を暴露したことで、情報提供者らの命を危険にさらしたとして、スパイ防止法違反など18の罪で起訴し、イギリスに対し身柄の引き渡しを要請している。

アサンジ被告は、ロンドンにあるエクアドル大使館に2012年から2019年の約7年間かくまれていたが、2019年にイギリス当局によって逮捕された。

イギリスの裁判所は2022年にアメリカへの移送を命じ、イギリス政府も承認した。

しかし、アサンジ被告側はアメリカに引き渡されれば、イギリスでは廃止された「死刑」になる可能性や言論の自由が保証されない可能性などに言及し、高等法院に不服を申し立てていた。

高等法院は20日、被告の訴えを認め、追加の裁判を行う判断を下した。

高等法院の前に集まった被告の支持者たちは、追加の裁判を認める判断が伝わると歓声を上げて喜んだ。

支持者の1人はFNNの取材に対し、「今日彼が身柄を引き渡されなかったことを喜んでいる。
小さな勝利だ」、「でも、彼はまだ刑務所にいることはいいニュースとは言えない」などと話した。

出身国であるオーストラリア政府は、アメリカに被告の起訴を取り下げるよう求めていて、バイデン大統領は2024年4月、起訴の撤回について「検討している」と応えている。

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